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「暴れる患者」に蹴られて看護師が流産 「危険な病棟」を担当させた病院の責任は?
2014年08月11日 18時17分

患者の暴力によって流産してしまった――。そんな女性看護師の悩みがネット掲示板に投稿されていた。投稿したAさんは25歳の看護師で、脳に障害を負った人が入院する脳外科病棟の担当だった。患者が暴れることも多いため、妊娠4週目であることが判明するとすぐに上司に報告し、配慮を求めたという。

しかし、上司は「妊娠は病気ではない」「私も妊娠中、普通に働いていた」などと言って、まともに取り合ってくれなかった。Aさんは重症患者が多い病室を任されたうえ、暴れた患者にお腹を蹴飛ばされて、切迫流産(流産の危険が迫っている状態)と診断されたという。その後「赤ちゃんだめだった」という投稿があったことからすると、結果的に流産となってしまったようだ。

Aさんは「私の旦那も師長に対して怒り狂っていますし、民事にもっていきたいとまで言ってます」と書いている。こうしたケースで、看護師は「病院側の責任」を問うことができるのだろうか。労働問題に詳しい和氣良浩弁護士に聞いた。

患者の暴力によって流産してしまった――。そんな女性看護師の悩みがネット掲示板に投稿されていた。投稿したAさんは25歳の看護師で、脳に障害を負った人が入院する脳外科病棟の担当だった。患者が暴れることも多いため、妊娠4週目であることが判明するとすぐに上司に報告し、配慮を求めたという。

しかし、上司は「妊娠は病気ではない」「私も妊娠中、普通に働いていた」などと言って、まともに取り合ってくれなかった。Aさんは重症患者が多い病室を任されたうえ、暴れた患者にお腹を蹴飛ばされて、切迫流産(流産の危険が迫っている状態)と診断されたという。その後「赤ちゃんだめだった」という投稿があったことからすると、結果的に流産となってしまったようだ。

Aさんは「私の旦那も師長に対して怒り狂っていますし、民事にもっていきたいとまで言ってます」と書いている。こうしたケースで、看護師は「病院側の責任」を問うことができるのだろうか。労働問題に詳しい和氣良浩弁護士に聞いた。

●病院には「安全配慮義務」がある

「『労働者』である看護師さんから見ると、病院は『使用者』です。使用者は『労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする』(労働契約法5条)とされています。これを安全配慮義務といいます。

この安全配慮義務に違反した使用者は、その結果として労働者が被った損害を賠償しなければなりません」

和氣弁護士はこう述べる。今回のケースに当てはめて考えると、どうだろうか?

「Aさんは、脳外科という精神的に不安定な患者を担当する病棟で働いていて、しかも過去に患者さんが暴れることが多くあったということです。こうした場合、使用者である病院側は、看護師の身体に危害が及ぶことを回避・抑制する義務を負っています。

妊娠4週目は、母胎にとって最も安静にすべき重要な時期です。Aさんからその事実を告げられた病院側は、安全配慮義務として、Aさんの身体に危害が加わる危険性が最も少ない病棟・病室を担当させる義務を負っていたと認められます」

今回のようなケースだと、病院は安全配慮義務に違反したことになるのだろうか?

「病院側は、こうした危険性が極めて高い病室をAさんに担当させたのですから、安全配慮義務に違反していたことは明らかです。

Aさんは、患者から暴力を振るわれ、流産してしまったことについて、『病院側の責任』を問えるといえるでしょう」

和氣弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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