8829.jpg
パワハラ訴えられた弁護士、裁判を有利に進めるため偽造証拠を提出 初公判で認める
2022年10月13日 18時38分

経営する弁護士事務所に所属していた男性弁護士からパワハラ被害を訴えられた裁判で虚偽の証拠を提出したとして、有印私文書偽造・行使などの罪に問われた古澤眞尋被告人(57)=弁護士業務は停止中=の初公判が10月13日、横浜地裁であった。

古澤被告人は文書偽造については「全て間違いございません」と述べたが、関係者にうその陳述をさせたとされる偽証教唆については弁護側が一部否認、執行猶予を求めた。

刑務官2人と共に入廷した古澤被告人は、検察官に向かって軽く会釈。人定質問で職業を問われると「今は行政書士をしております」と丁寧に述べた。資料に熱心に目を通し、退廷時に裁判官に深く一礼するなど、終始落ち着いた様子だった。

経営する弁護士事務所に所属していた男性弁護士からパワハラ被害を訴えられた裁判で虚偽の証拠を提出したとして、有印私文書偽造・行使などの罪に問われた古澤眞尋被告人(57)=弁護士業務は停止中=の初公判が10月13日、横浜地裁であった。

古澤被告人は文書偽造については「全て間違いございません」と述べたが、関係者にうその陳述をさせたとされる偽証教唆については弁護側が一部否認、執行猶予を求めた。

刑務官2人と共に入廷した古澤被告人は、検察官に向かって軽く会釈。人定質問で職業を問われると「今は行政書士をしております」と丁寧に述べた。資料に熱心に目を通し、退廷時に裁判官に深く一礼するなど、終始落ち着いた様子だった。

●民事訴訟はパワハラを認定、その後和解

問題の書類が出された民事訴訟は2016年、古澤被告人が経営する川崎市の事務所に所属していた30代の男性弁護士が慰謝料などを求めていた。古澤被告人の代理人弁護士は複数回にわたって交代している。

一審横浜地裁川崎支部は2021年4月、被告人が2013〜16年に男性の胸ぐらをつかんでロッカーにたたきつけたり、メールの宛先を蔑称にしたりした行為をパワハラと認定、慰謝料など計約500万円の支払いを命じた。双方が控訴し、今年2月に和解している。

●通帳履歴を書き換え、印鑑を新たに作成

古澤被告人は妻と共謀し、パワハラ訴訟を自分にとって有利に進めようと、銀行通帳の取引履歴やメール文書などを偽造し、真正な証拠のように提出したなどとされる。

検察側の冒頭陳述などによると、偽造証拠とされたのは▽依頼者との間での通帳の取引履歴▽A弁護士の印章入りの督促通知書▽B弁護士が書いたとする中傷メールの3点。自宅や事務所のパソコンで、PDFファイルの編集ソフトなどで書き換えを重ねたという。

いずれもパワハラを訴えた男性弁護士が仕事で失敗し評判が悪かったと主張するための証拠として、裁判に提出。自身の代理人を務めた複数の弁護士も見抜けず、付き合いのある業者など多くの関係者が巻き込まれていた。

A弁護士の通知書は、印影から類似の印鑑をつくるよう業者に依頼・作成して押印。また、B弁護士のメール文書は、面談した際に一時退席している間に「メールが自分のものだ」と署名した書類に押印されていたという。

古澤被告人は、神奈川県弁護士会によって2021年6月29日に退会命令の懲戒処分を出され、審査請求。日弁連が今年5月17日付で業務停止2年に変更する裁決をした約1週間後の5月25日に横浜地検に逮捕された。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る