9003.jpg
出会い系サイトが「売春」のやり取り放置? 運営会社社長の「逮捕」に潜む問題点
2015年12月08日 11時23分

国内最大級の出会い系サイト「ハッピーメール」の運営会社の社長ら男性3人が11月下旬、売春防止法違反のほう助の疑いで、京都府警に逮捕された。売春のやり取りが行われていることを知りながら、掲示板の書き込みを削除しなかったという疑いがもたれている。

報道によると、京都府警が10月に同社を家宅捜索した。その際、サイトの利用者が書いた「援交」という言葉を「○交」と書き換えるなど、違法性が高い書き込みの一部を伏せ字にして、対策を取っているように装うことを指示するマニュアルなどが見つかったという。

京都府警の調べに対して、社長は「伏せ字にすれば問題ないと思っていた」「逮捕に納得できない」などと供述して、容疑を否認したという。京都府警は、このサイトが少女らの売春の温床になっていた疑いがあるとみて、実態を調べているようだ。

京都府警は、どんな根拠で出会い系サイトの社長らを逮捕したのか。また、その捜査手法に問題はないのか。奥村徹弁護士に聞いた。

国内最大級の出会い系サイト「ハッピーメール」の運営会社の社長ら男性3人が11月下旬、売春防止法違反のほう助の疑いで、京都府警に逮捕された。売春のやり取りが行われていることを知りながら、掲示板の書き込みを削除しなかったという疑いがもたれている。

報道によると、京都府警が10月に同社を家宅捜索した。その際、サイトの利用者が書いた「援交」という言葉を「○交」と書き換えるなど、違法性が高い書き込みの一部を伏せ字にして、対策を取っているように装うことを指示するマニュアルなどが見つかったという。

京都府警の調べに対して、社長は「伏せ字にすれば問題ないと思っていた」「逮捕に納得できない」などと供述して、容疑を否認したという。京都府警は、このサイトが少女らの売春の温床になっていた疑いがあるとみて、実態を調べているようだ。

京都府警は、どんな根拠で出会い系サイトの社長らを逮捕したのか。また、その捜査手法に問題はないのか。奥村徹弁護士に聞いた。

●「出会い系サイト規制法」はどう定めているか?

「今回摘発されたサイトは、『インターネット異性紹介事業』に該当します。

『出会い系サイト規制法』は、児童以外の者による売春を誘引する書き込みや、児童買春もしくは淫行をあおる書き込み、わいせつ図画等をインターネット異性紹介事業の掲示板に掲載する行為について、書き込みの削除等の措置を講じる義務を定めています」

奥村弁護士はこのように切り出した。今回のケースでは、どうだったのだろうか。

「出会い系サイトの実態としては、売買春に関する書き込みが多くみられます。したがって、『援交』などの売春勧誘文言について『○交』としても、売春勧誘である趣旨が理解できますので、同法の防止措置としては不完全と思います。

『出会い系サイト規制法』に違反して放置した場合、公安委員会から『指示』(同法13条)を受け、その『指示』に違反した場合に罰則(同法32条3号)が用意されています。

しかし、放置しただけでは、罰則は適用されないことになっています」

●「法的責任が曖昧なまま強制捜査が行われている」

今回は、売春防止法違反の『ほう助』の疑いで摘発されている。

「出会い系サイト上に、売春を示す書き込みをすることは、勧誘(売春防止法5条1号)ないし誘引(同条3号)に該当します。

ただ、それを放置したサイト管理者について、どのような場合に法律上の削除義務が生じるのか、削除しない場合にどのような刑事責任(正犯かほう助か)が発生するのかについては、明文の法律がなく、判例も定まっていません」

今回のような出会い系サイトの運営会社は、どのような点に気をつけるべきなのだろうか。

「管理しているサイトに違法な情報が掲載された場合、法的責任が曖昧なまま、強制捜査が行われています。

管理者としては、できる範囲での監視を怠らず、見つけたら削除するなどして、そういう管理行為の結果を残しておいて、故意に放置する意図がないことを説明できるようにしておく必要があるでしょう」

奥村弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る