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「勝手に処分」「見積もりより高い」遺品整理のトラブル増加…どう対処すればいい?
2016年05月09日 10時08分

誰にもみとられずに「孤立死」した人の「遺品整理」や、現場を原状回復する「特殊清掃」のサービスが広がりを見せている。しかし、最近、トラブルが増加しているという。

報道によると、孤立死した人の遺族が遺品整理の業者に作業を依頼した後、当初の見積もりより大幅に増額した金額を求められたり、勝手に持ち帰られたりするなどのトラブルが発生しているという。

亡くなった人の形見の品や、高価なものを勝手に処分されたら、遺族としてはたまらないだろう。業者に損害賠償を請求したくなるかもしれないが、どう対処すればいいのか。福村武雄弁護士に聞いた。

誰にもみとられずに「孤立死」した人の「遺品整理」や、現場を原状回復する「特殊清掃」のサービスが広がりを見せている。しかし、最近、トラブルが増加しているという。

報道によると、孤立死した人の遺族が遺品整理の業者に作業を依頼した後、当初の見積もりより大幅に増額した金額を求められたり、勝手に持ち帰られたりするなどのトラブルが発生しているという。

亡くなった人の形見の品や、高価なものを勝手に処分されたら、遺族としてはたまらないだろう。業者に損害賠償を請求したくなるかもしれないが、どう対処すればいいのか。福村武雄弁護士に聞いた。

●相続人に所有権が移転するのが原則

「遺品については故人の相続人に所有権が移転するのが原則です。相続人が複数いる場合は共有することになります。同居の有無は関係ありませんので、妻子のいない独居者が死亡した場合、遠隔地にすむ兄弟が相続人となる場合もあります。

このような場合、相続人としては相続放棄することも考えられますが、故人が資産を残して死亡している可能性もありますし、また故人の住居の賃貸借契約の連帯保証人になっている関係で、早急に故人の住居内の動産類(遺品)を処分する必要がある場合もあります。

このような状況で、相続人に代わって『遺品整理』をする業者が最近増加しています。主要な業務は不要物の搬出や廃棄ですが、貴金属等、リサイクルが可能な物品の買取や清掃も同時に行うことが多いと思われます。

また『特殊清掃』として、住居内で独居者が死亡し、発見が遅れたために発生した腐敗臭の除去や腐敗による汚染部分の清掃等も行われています」

●見積もり日と作業日は別にすべき

では、業者が勝手に処理することはできないのか。

「遺品整理業者が遺品を搬出したり買取することのできる根拠は、新たな所有権者である相続人と契約を締結しているからであって、遺品整理業者の独断でやれるわけではありません。

ですから、相続人が複数いる状態で、1人の相続人と遺品整理業者が遺品整理契約を締結すること自体が、他の相続人の所有権を侵害する可能性があります。相続人が複数存在する場合には連名で契約を締結するか、他の相続人の同意書をとっておく等の準備は必要だと思われます。

見積書についても物品の搬出だけなのか清掃も含まれるのか、家電リサイクル料金も含まれているのか、現金や貴金属などが発見された場合の買取等について明確になっているかは確認すべきでしょう。

業者によっては見積と同時に作業に着手する『スピード』を売りにしている場合もありますが、このような場合、契約締結の自由も事実上無く、強制的に作業に着手される場合もありますので、見積もりと作業日は別にするべきだと思われます。

作業当日に見積を大幅に超える追加料金を請求された場合には、契約内容と異なることを理由に断るべきです。業者がそれでは作業を中止すると言うような場合には債務不履行による損害賠償を請求する旨を主張すべきです」

●作業前に写真撮影をしておいた方がいい

もし無断で処分された場合、損害賠償を請求することはできるのか。

「買取の合意をしていない遺品について、遺品買取業者が無断で持ち去る行為は相続人の所有権侵害行為ですので、所有権に基づく返還請求、返還されない場合には損害賠償請求が可能です。

ただし、実際には物品の無断持ち出しを立証することは難しいことが多いと思われます。トラブル防止のためには、作業に立会を行う必用がありますし、作業前の写真撮影をしておくこともお勧めします。

相続人のいない(若しくは全員が相続放棄した)独居者の死亡の場合には、債権者などからの申立により相続財産管理人が選任され、相続財産管理人が財産の処分管理を行うことになります」


福村弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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