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モデル活動で「自主退学」を迫られた「女子高生」 学校の通告を拒否できるか?
2015年03月14日 13時10分

私立高校の女子生徒がモデルの仕事をしたら、学校から「自主退学」を勧告された。どう対応すればいいか。こんな相談が、女子高生の知人という人物から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

彼女は高校1年生のとき、10〜20代向けのファッション雑貨ブランドのモデルとして、学校の制服を着て撮影をおこなった。ブランドのオフィシャルサイトには、いまもその写真が掲載されているという。それまで学校から注意はなかったが、卒業が間近に迫ったある日、「学校のイメージを損ねた」という理由で、自主退学するよう通告されたというのだ。

相談者によると、ブランドのサイトに掲載された写真はいかがわしいものではない。また、校則でアルバイトは禁止されていない。それなのに、事前に弁明する機会もないまま、いきなり「自主退学」を迫られたのだという。

このように学校が生徒に対して、ある日突然、自主退学を求めることは許されるのか。また、女子生徒はこの勧告を拒否できるのか。子どもや学校の問題にくわしい野澤哲也弁護士に聞いた。

私立高校の女子生徒がモデルの仕事をしたら、学校から「自主退学」を勧告された。どう対応すればいいか。こんな相談が、女子高生の知人という人物から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。

彼女は高校1年生のとき、10〜20代向けのファッション雑貨ブランドのモデルとして、学校の制服を着て撮影をおこなった。ブランドのオフィシャルサイトには、いまもその写真が掲載されているという。それまで学校から注意はなかったが、卒業が間近に迫ったある日、「学校のイメージを損ねた」という理由で、自主退学するよう通告されたというのだ。

相談者によると、ブランドのサイトに掲載された写真はいかがわしいものではない。また、校則でアルバイトは禁止されていない。それなのに、事前に弁明する機会もないまま、いきなり「自主退学」を迫られたのだという。

このように学校が生徒に対して、ある日突然、自主退学を求めることは許されるのか。また、女子生徒はこの勧告を拒否できるのか。子どもや学校の問題にくわしい野澤哲也弁護士に聞いた。

●「自主退学勧告」は退学処分に近い重さがある

「『自主退学勧告』というと、退学を『求める』だけのように受け取られがちです。しかし、実態は違います。自主退学に応じなければ、その後に学校側から退学処分を受けるケースが多いため、実質的には『退学処分』と同等に考えられる重い勧告と考えてください」

野澤弁護士はこのように、学校側の勧告の意味を説明する。

「ただ、学校には生徒を退学処分にする権限があるとはいえ、『自主退学勧告』を出す以上、それなりの根拠を示す必要があります」

今回のケースでは、「学校のイメージを損ねた」ということを自主退学の理由にあげているが、それだけで退学すべき根拠といえるのだろうか。

「学校のイメージとは、校風を指しているのだろうと思います。特に私立学校には、それぞれ独自の校風があり、それを損なうことが処分の根拠となることがあります。

その場合、学校が、受験生や在学生、その保護者にしっかりと校風(や校則)を伝え、積極的に周知していることが条件となります。また、自主退学の勧告にあたっては、モデル活動によってどのように校風が損なわれたのか、詳細な説明が必要です」

●勧告に至る「手続き」にも問題がある

モデル活動は「校風を損ねる」ので認めない。そんな学校の方針が事前に伝えられていたら、女子生徒はその学校に入学しなかったかもしれない。逆にいえば、そういう方針がきちんと伝えられていないのに、いきなり退学を迫るのは酷だろう。

「今回のケースでは、学校側の手続きにも問題があるといえます。自主退学の勧告前に、女子生徒から事情を聞いたり指導もせず、卒業間近に突然、自主退学を通告した点は、大きな問題です。

『校風』が退学勧告の段になってはじめて出てきたこと、また、手続き上も問題があること、この2点から今回の自主退学勧告は許されず、女子生徒は通告を拒否できると考えます。

ただ、学校が一度退学処分をしてしまえば、後から争うのは時間がかかります。自主退学の勧告が出た時点で専門家に相談し、早期に学校と協議をして、問題を解決するべきです」

(弁護士ドットコムニュース)

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