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手錠で拘束されたネパール人、検察の取調べ中に突然死…妻「真実知りたい」と提訴
2018年07月27日 17時16分

東京地検で取り調べを受けていたネパール人男性、シン・アルジュン・バハドゥールさん(当時39歳)が亡くなったのは、検察官らが、職務上つくすべき注意義務を怠ったことによるとして、男性の遺族が7月27日、国と東京都を相手取り、慰謝料など計約6935万円をもとめて提訴した。

原告である妻と代理人が提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。妻は「いったいどうして彼は亡くなったのか。殺されたのか。真実を知りたくて、今回の提訴に至った」と語った。原告代理人によると、7月26日、業務上過失致死の疑いで、被疑者不詳のまま新宿警察署に刑事告訴もしたという。

東京地検で取り調べを受けていたネパール人男性、シン・アルジュン・バハドゥールさん(当時39歳)が亡くなったのは、検察官らが、職務上つくすべき注意義務を怠ったことによるとして、男性の遺族が7月27日、国と東京都を相手取り、慰謝料など計約6935万円をもとめて提訴した。

原告である妻と代理人が提訴後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。妻は「いったいどうして彼は亡くなったのか。殺されたのか。真実を知りたくて、今回の提訴に至った」と語った。原告代理人によると、7月26日、業務上過失致死の疑いで、被疑者不詳のまま新宿警察署に刑事告訴もしたという。

●アルジュンさんは3つの戒具で拘束されていた

訴状などによると、アルジュンさんが取り調べを受けてから亡くなるまでの経緯は、次のとおりだ。

アルジュンさんは2017年3月14日、路上で拾った他人名義のクレジットカードを所持していたとして、占有離脱物横領の疑いで逮捕された。アルジュンさんは翌15日朝、反抗的態度をとったとして、留置場の保護室に収容された。

アルジュンさんはそのあとも反抗的態度を崩さなかったため、両手と腹を締め上げる「ベルト手錠」(ナイロン製)、両足首を留める「捕縄」、膝を固定する「ロープ」――といった3つの戒具で拘束された。その後、ベルト手錠から護送用の手錠(金属製)に付け替えられて、東京地検に送られた。

検察官による取り調べがはじまって約15分後、アルジュンさんの片手の手錠が外された。すると、アルジュンさんは大きくのけぞり、動かなくなった。振り動かしても反応がないため、検察官らは119番通報したうえで、すべての拘束を解いた。その後、日大病院に搬送されたが、アルジュンさんの死亡が確認された。

●「筋挫滅症候群」とは?

原告代理人らが、日大病院からカルテや遺体写真を取り寄せて、医師に鑑定してもらったところ、アルジュンさんの両手は赤黒く膨れ上がっていた。また、血液検査の結果などから、アルジュンさんの筋肉細胞が壊死して、カリウムなどの有害物質が流れ出ていたことがわかったという。

アルジュンさんは、ベルト手錠で両手を過度に締め上げられたあと、急に手錠を外されていた。そのため、アルジュンさんの死因は、血行が再開して、筋肉壊死で生じたカリウムなどの有害物質が全身に流れ出したことで死に至る「筋挫滅症候群」によるものだったと考えられるという。

原告代理人によると、ナイロン製のベルト手錠は、過去にも死亡事件があり、その危険性も指摘されている。原告側は、そうした危険性があるにもかかわらず、検察官・警察官が、漫然とベルト手錠を使用・解除しており、職務上つくすべき注意義務を欠いていたと主張している。

原告代理人の1人、小川隆太郎弁護士は会見で「ベルト手錠の使用方法について、インターバルをもうけるなどルールをつくらなければ、また、同じような被害が繰り返されるおそれがある。(警察、検察には)あらためて、ナイロン製のベルト手錠の危険性について認識してもらいたい」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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