9434.jpg
タイ奴隷工場でつくられた「鶏肉」が食卓に・・・NGO「日本企業、対策とるべき」
2018年09月05日 17時43分

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)は9月5日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、日本企業とつながりのあるタイの鶏肉工場で、労働者たちが劣悪な環境で労働させられているという調査報告書を発表した。HRNは、タイから鶏肉食品を輸入している日本企業に対して、サプライチェーン内の労働環境の改善について取り組むべきだともとめている。

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)は9月5日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、日本企業とつながりのあるタイの鶏肉工場で、労働者たちが劣悪な環境で労働させられているという調査報告書を発表した。HRNは、タイから鶏肉食品を輸入している日本企業に対して、サプライチェーン内の労働環境の改善について取り組むべきだともとめている。

●パスポート没収、外出制限など「逃げ出すこともできない」状況だった

HRNの報告書によると、この工場では、ミャンマーからの移民労働者が、経営者にパスポートなど身分証明書を没収されたり、外出を制限されたりするなど、逃げ出すこともできない強制労働をさせられていた。ほかにも、最低賃金を下回る条件や、残業代の不払い、同意のない天引き、1日19〜22時間の長時間労働など、過酷な環境のもとにあったという。

日本は、タイ鶏肉食品の最大の輸入国で、こうしてつくられた鶏肉が、日本の大手商社や大手食品会社を通じて輸入されて、一般家庭の食卓にのぼっているというのだ。

問題の工場は、タイの食品会社「ベタグロ」のサプライチェーン。ベタグロをはじめとして、タイの鶏肉産業は、労働者に対して、深刻な人権侵害の高い状況があるとされている。その問題を指摘されている食品会社5社は、日本に向けて鶏肉を輸出したり、合弁事業をおこなったりするなど、日本企業と提携しているという。

HRNは報告書の中で、タイ企業やタイ政府に対して改善をもとめる勧告をおこなうとともに、タイの鶏肉産業とつながりを持つ日本企業に対しても、サプライヤーによる労働者の人権侵害を防止するための方針の策定や、サプライヤーによる人権侵害を特定する『人権デューディリジェンス』の方針強化などをもとめている。

●「氷山の一角」にすぎない

今回の調査結果は「氷山の一角」にすぎず、タイの養鶏産業では、問題の工場以外でも、「奴隷的」な強制労働が蔓延しているという。

HRN事務局次長の小川隆太郎弁護士によると、日本企業はこれまで、サプライチェーンの工場まで監査することは一般的でなかったが、「国際的に時代遅れになっている」という。「サプライチェーンの工場についても、人権侵害が起きないように監査する方針を定めたうえで、人権問題が起きないリスクを調べることが求められている」と強調していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る