16297.jpg
「お風呂に汚物」週1でみつかる 銭湯のおじさん呆然…どんな罪に問える?
2019年02月10日 09時17分

銭湯のなかに「汚物」を残されて困っている、やった人を罪に問えないかーー。

こうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。相談者によると、はじめはうっかり漏らしたものかなと思っていたそうですが、1〜2週間に1度の頻度で浴槽のなかに汚物(大便)が見つかり、「もう、我慢の限界」とのことです。

やった人をどのような罪に問えるのか、また損害賠償はできるのか。西口竜司弁護士に聞きました。

銭湯のなかに「汚物」を残されて困っている、やった人を罪に問えないかーー。

こうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。相談者によると、はじめはうっかり漏らしたものかなと思っていたそうですが、1〜2週間に1度の頻度で浴槽のなかに汚物(大便)が見つかり、「もう、我慢の限界」とのことです。

やった人をどのような罪に問えるのか、また損害賠償はできるのか。西口竜司弁護士に聞きました。

●大便、モラルの問題だけで済まない

ーーどんな罪になりそうでしょうか

「可能性として考えられるのは、『器物損壊罪』や『業務妨害罪』の成立でしょう。

まず、『器物損壊罪』ですが、同罪における『損壊』とは、物理的損壊に限らず、その物の効用を失わせることも含むとされています。今回のような場合、大便をしたことによって水や浴槽などの効用を失わせたとまでは考えにくく、同罪は成立しないと思われます」

ーー業務妨害罪についてはどうですか

「はい、『業務妨害罪』が成立する可能性はあります。今回のケースでは『偽計業務妨害罪』の問題になりうるでしょう。

『偽計』とは何だか難しい言葉ですが、要するに、人を騙したり、人の無知や勘違いを利用することです。例えば、『バレないだろう』と思ってこっそり浴槽で大便をした人がいて、その後、浴槽に大便があったことが発覚し、客が来なくなったというような場合、大便をした人は同罪に問われる可能性があります。

このほか、仮に、大便をする目的で銭湯に入ったと考えると、『建造物侵入罪』が成立すると思われるかもしれません。しかし、銭湯など公衆に開かれた場所においては、建物内に入ることについて管理権者の同意があったと考えられるため、同罪の成立は難しいように思います」

ーー銭湯の経営者が、大便をした人に損害賠償を請求できるのでしょうか

「銭湯で大便をすることは、民法709条の不法行為に該当すると考えられますので、運営者が損害賠償請求をすることはできます。

なお、軽犯罪法は1条26項で『街路又は公園その他公衆の集合する場所で』『大小便をした』者を処罰すると規定しています。銭湯での大便もこれに該当する可能性があります。他人にばれなければ良いという問題ではありません。モラルをもって行動したいですね」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る