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任天堂が「マリカー」提訴、本当に「著作権侵害」「不正競争防止法違反」なのか分析
2017年02月25日 19時43分

任天堂は2月24日、マリオなどのキャラクターの衣装を貸し出し、公道を走るカートのレンタル事業を運営する「株式会社マリカー」を、著作権侵害などを理由に、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

任天堂は、マリカー社が、客にカートをレンタルする際、「マリオ」などの著名なキャラクターのコスチュームを貸し出したうえ、そのコスチュームが写った画像や映像を許諾なしに宣伝・営業に利用するなどしていると指摘。こうした行為が、「不正競争行為および著作権侵害行為にあたる」と主張している。

一方で、マリカーは「複数の弁護士・弁理士の専門家に相談をし、私たちのサービスが、任天堂様に対する不正競争行為及び著作権侵害行為には該当しないと判断した上で、サービスを提供してきました」との声明を発表している。

任天堂側は「著作権侵害」や「不正競争防止法違反」などを主張しているが、今回のケースで、どのような点がポイントになるのか。著作権の問題に詳しい齋藤理央弁護士に聞いた。

任天堂は2月24日、マリオなどのキャラクターの衣装を貸し出し、公道を走るカートのレンタル事業を運営する「株式会社マリカー」を、著作権侵害などを理由に、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

任天堂は、マリカー社が、客にカートをレンタルする際、「マリオ」などの著名なキャラクターのコスチュームを貸し出したうえ、そのコスチュームが写った画像や映像を許諾なしに宣伝・営業に利用するなどしていると指摘。こうした行為が、「不正競争行為および著作権侵害行為にあたる」と主張している。

一方で、マリカーは「複数の弁護士・弁理士の専門家に相談をし、私たちのサービスが、任天堂様に対する不正競争行為及び著作権侵害行為には該当しないと判断した上で、サービスを提供してきました」との声明を発表している。

任天堂側は「著作権侵害」や「不正競争防止法違反」などを主張しているが、今回のケースで、どのような点がポイントになるのか。著作権の問題に詳しい齋藤理央弁護士に聞いた。

●任天堂が「不正競争防止法違反」と主張している背景は?

「本件は、裁判所が不正競争防止法違反、著作権侵害と判断する可能性があると考えられます。まず、不正競争防止法違反についてお話したいと思います」

齋藤弁護士はこのように切り出した。不正競争防止法違反についてどう考えればいいのか。任天堂は、「マリオカート」の略称である「マリカー」という言葉を社名にしている点を問題視しているようだ。

「混合惹起行為、著名表示冒用行為が問題となります。どちらも、他者の『商品等表示』を保護する構造になっています。端的に言えば、他人の商品・営業と混同させるような行為を禁止しているのです。

『マリカー』は、『マリオカート』の略称として、一般的に浸透している略称だと考えられます。そうした名称を社名として使うと、任天堂と関連のあるサービスだと勘違いする人もいるでしょう。

また、コスチュームが写った画像や映像を許諾なしに宣伝・営業に利用するなどしている点についても不正競争防止法違反を問題としていれば、『マリオ』などのキャラクターが『商品等表示』に該当するのかが問題となり得ます。この点、漫画のキャラクターである、『ポパイ』は、『商品等表示』に該当すると判断した裁判例があります。

『マリカー』という名称や『マリオ』を連想させるコスチュームを用いることは、『マリオ』という著名なキャラクターを媒介として営業主の混同を生じさせ不当な顧客誘引力を発生させている可能性があるということです」

●著作権侵害にあたる可能性は?

著作権侵害については、どう考えればいいのか。マリカー社は、マリオやルイージ、ピーチ姫などのキャラクターのコスチュームを顧客に貸し出し、公道を走行している様子を公式ページやSNSにアップロードしていた。任天堂は、こうした点を問題視しているようだ。

「著作権侵害については、とても微妙な判断が必要になります。クッパやヨッシーなど、キャラクターの顔も含めてキャラクターイラスト全体をコスチュームにしているものについては、それを貸し出し、顧客が着用して走行している様子などを公式ページやSNSなどに掲載する行為は、著作権(複製権・公衆送信権)を侵害する可能性が高いと思います。

問題は、キャラクターイラスト全体を使用せず、その服装だけをコスチュームとして貸し出していたマリオなどのキャラクターです。

この場合、著作権法的には、貸し出しているコスチュームに、マリオというキャラクターイラストの本質的特徴が残存しているかが問題となります。

赤いシャツに赤い帽子、黄色いボタンがついた青いつなぎというシンプルな服の組み合わせに、マリオというキャラクターイラストの本質的特徴が残っているとい言えるかは、とても微妙です。

どちらかというと、シンプルな色の服の組み合わせに著作物性(言い換えれば原著作物の本質的特徴)は認められないという考え方が主流だろうと思います。

株式会社マリカーは声明で専門家のアドバイスも受けていたと説明しているようですが、ひょっとしたら、同様の考え方に基づいて、コスチュームだけなら著作権侵害にならないというアドバイスを受けていたのかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

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