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「就職したら結婚する。お前は就活しなくていい」そんな言葉を信じた女子大生の悲劇
2018年09月18日 09時11分

ある学生カップルの「悲劇」ともいえるようなエピソードが、ツイッター上で話題となりました。

投稿によりますと、ある女子大生が、当時付き合っていた大学生の彼氏から「(俺が)就職したら結婚するから(お前は)就活しなくていいよ」と言われました。その言葉を真に受けて、女子大生が、ほんとうに就職活動をしなかったところ、その後、就職した彼氏にふられてしまったそうです。

結婚してもらえず、就職先もない女子大生は、彼氏を相手取って、慰謝料を請求したということです。投稿した人は、この話を聞いて「絶句した」とつづっています。真偽は不明ですが、男性のいい加減な言葉を信じてしまったために、不幸になる女性は、古今東西少なくありません。

はたして今回のような場合、慰謝料を請求できるのでしょうか。男女問題にくわしい泉田健司弁護士に聞きました。

ある学生カップルの「悲劇」ともいえるようなエピソードが、ツイッター上で話題となりました。

投稿によりますと、ある女子大生が、当時付き合っていた大学生の彼氏から「(俺が)就職したら結婚するから(お前は)就活しなくていいよ」と言われました。その言葉を真に受けて、女子大生が、ほんとうに就職活動をしなかったところ、その後、就職した彼氏にふられてしまったそうです。

結婚してもらえず、就職先もない女子大生は、彼氏を相手取って、慰謝料を請求したということです。投稿した人は、この話を聞いて「絶句した」とつづっています。真偽は不明ですが、男性のいい加減な言葉を信じてしまったために、不幸になる女性は、古今東西少なくありません。

はたして今回のような場合、慰謝料を請求できるのでしょうか。男女問題にくわしい泉田健司弁護士に聞きました。

●「婚約」が成立していれば、慰謝料請求できる

「男女関係を不当に解消したことを理由として、慰謝料請求権が類型的に成り立つのは、『婚姻』『内縁』『婚約』の3つの場合です。

単なる交際関係を一方的に解消したからといって、通常は、慰謝料は認められません。たとえば、交際中の相手方が浮気をしたからといって慰謝料を請求できるわけではありません」

今回のカップルの場合はどうなのでしょうか。

「『就職したら結婚するから』という彼氏の発言から、婚約が成立しており、その婚約の不当破棄である、という法律構成が考えられます。

婚約というのは、お互いの合意で成立する契約です(このような契約を法律用語では諾成契約といいます)。とすれば、『就職したら結婚するから』と言われ、女性もそれに応じていたのでしょうから、婚約が成立していると言えそうに思います。

しかし、裁判所は簡単に婚約を認定してくれません。

たとえば、岡山地裁は『将来の結婚に関する言辞が交わされていたとしても、それは両者間における恋愛感情を高め、男女関係を維持するためのものとみるのが相当であり、これをもって法的保護に値する婚約とまで認めることはできない』と述べています(2012年3月28日判決)。

結局、合意で成立する諾成契約でありながら、多くの事案において、将来の結婚に関する男女の会話は、『恋愛感情を高めるためのもの』に過ぎないとされているのです」

●婚約が成立したと言えるケース

では、どのような場合に、婚約が認められるのでしょうか。

「たとえば、結納を済ませていたとか、婚約指輪を贈っていたとか、結婚式場を予約していたなど、外形的事実があれば、問題なく婚約の成立が認められるでしょう。

今回のケースでは、一応、社会人一歩手前の大学生間で交わされた会話ですので、それなりに意味のある会話であるとは思います。

ただし、弁護士としては、この会話だけで婚約が成立していると考えて、裁判を起こすには、躊躇を覚えます。なぜなら、言った言わないの話にされてしまうリスクがあるうえに、先ほど述べた裁判例のように、『恋愛関係を高めるためのもの』に過ぎないと判断され、婚約と認められないリスクがあるからです。

結局、婚約が成立していると考えられる外形的事実と相応の証拠がなければ、弁護士としては裁判を引き受けることは難しいというのが実情です。

ただ、外形的事実といっても、昨今は、結納をしない人のほうが多いですし、結婚式をしない人も増えていますから、具体的に新居の契約をしていたとか、友人や家族に婚約者として紹介していたとか、婚姻届を提出する日を決めていたとか、そういった事情も総合的に検討されると思います。

そして、この種の裁判では、当事者間のメールやラインなどが証拠として提出されることが多いですので、今一度、見返してみるのも有益です」

●「裁判所は男女関係への介入は消極的」

仮に、裁判で慰謝料が認められるとしたら、いくらになるのでしょうか。

「賠償額はせいぜい数十万円にとどまると思います。婚姻にくらべて、精神的苦痛の程度が比較的重くないと考えられるからです。

さて、男女関係は、遠くから見ればまっすぐに見えても、近くから見れば、複雑ならせん状に渦巻いているということがよくあります。他人からはわかりにくいので、裁判所は男女関係への介入は全般的に消極的に思えます。

将来の結婚に関する言辞は、恋愛感情を高めるためのもの、と先述の裁判例はいいますが、結局、『言葉だけでは他人にはよくわからない』と言っているように聞こえますね」

(弁護士ドットコムニュース)

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