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DL違法化見送り「最悪よりはマシ」「マグロもメダカも一網打尽はダメ」シンポで検証
2019年03月19日 09時36分

漫画や写真など、あらゆるコンテンツに「ダウンロード違法化」の対象範囲を広げる「著作権法改正」の議論の流れについて、知的財産法の研究者らが検証するシンポジウムが3月17日、明治大学駿河台キャンパスで開かれた。

明治大学研究・知財戦略機構顧問で、東京大学名誉教授の中山信弘氏は冒頭、いったん見送りとなったダウンロード違法化拡大案について「規制の網が細かすぎて、マグロもメダカも一網打尽にするようなものはよろしくない、という考えが(研究者の間で)強かった」と話した。

漫画や写真など、あらゆるコンテンツに「ダウンロード違法化」の対象範囲を広げる「著作権法改正」の議論の流れについて、知的財産法の研究者らが検証するシンポジウムが3月17日、明治大学駿河台キャンパスで開かれた。

明治大学研究・知財戦略機構顧問で、東京大学名誉教授の中山信弘氏は冒頭、いったん見送りとなったダウンロード違法化拡大案について「規制の網が細かすぎて、マグロもメダカも一網打尽にするようなものはよろしくない、という考えが(研究者の間で)強かった」と話した。

●過剰でもなく、過少でもない規制を

ダウンロード違法化拡大を盛り込んだ著作権法改正案は、いわゆる海賊版サイト対策の一つとして検討されていたが、研究者や漫画家などから「ネット利用を萎縮させる」という批判・反対が相次いだ。自民党の部会で承認されたが、総務会で差し戻されたあと、3月13日に正式に見送りとなった。

一方で、海賊版サイト対策が、切迫した課題であることには変わりがない。中山氏は「著作権法の規制は、過剰であってはいけないし、過少であってもいけない。その間のとり方が非常にむずかしい」「(より少ない規制からはじめる)試行錯誤的な立法があってしかるべきだ」と注文をつけた。

●非常に短い期間でできあがった

ダウンロード違法化の対象範囲の拡大は、文化庁の文化審議会著作権分科会の小委員会で、2018年10月から議論がスタートした。同年12月中旬に中間まとめが示されて、パブリックコメントをかけられた後まとめられ、今年2月中旬に著作権分科会に報告書があがるなど、非常に短い期間でできあがった。

小委員会のメンバーの1人だった前田健・神戸大学大学院法学研究科准教授は「基礎となる必要な情報が十分に収集されず、それについての専門家の議論も深まらない状態で、重大な効果をもちうる法政策が決定されようとしたことに、問題があったと思う」と振り返っていた。

●極めてイレギュラーだった

この日のシンポジウムには、超党派の「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」のアドバイザーで、マンガ・アニメ海賊版対策協議会の事務局長をつとめている桶田大介弁護士が登壇した。

今回の著作権法改正案には、リーチサイト対策も含まれていたが、一緒に見送りとなったことについて、桶田弁護士は「非常に複雑な気持ち」と心境を明かした。また、総務会で改正案がストップしたことを「極めてイレギュラー」で「通常のプロセスに大きなキズがついた」と指摘した。

そのうえで、桶田弁護士は「このあと、さまざまなステークホルダー(利害関係者)が、立て直していかないと、この問題に限らず、社会的に大きな損失があるかもしれない」「この結果については、『最悪よりはマシ』くらいの認識をしている」と憂慮を示した。

なお、シンポジウムの資料は、明治大学知的財産法政策研究所のホームページで公開されている。http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ip/events/index.html

(弁護士ドットコムニュース)

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