好き勝手に浪費や不倫した挙句に「困ったから生活費ください」は受け入れられないーー。そうなる前にモラハラ父を扶養したくないという相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者の父親は退職金が2000万円もあったにも関わらず、ギャンブルやキャバクラ、風俗で使い切り、さらには1000万円もの借金までしたといいます。
父親は、現在も年金などで毎月40万円以上の収入があるそうですが、貯蓄はゼロ。挙げ句の果てに、モラハラや不倫をいまだに繰り返し、相談者の母親とは離婚予定だそうです。
そんな父親ですが、もし働けなくなったりした場合は自分を頼ってくるのではないかと相談者は考えています。ただ相談者は自身の子どもの学費などを用意しなければならず、またこうした父親の態度もあり、助ける気はまったくないそうです。
父親を扶養しなくてすむためにはどのような方法が考えられるでしょうか。
● ギャンブルで困窮したとしても、扶養を求めること自体は可能
そもそも、扶養義務(生活扶助義務)とは、扶養義務者が自身の社会的地位にふさわしい生活を維持した上で、なお余力がある場合にのみ扶養する義務です。これは、配偶者や未成年の子に対する「生活保持義務」とは異なり、より軽い義務とされています。
扶養請求が認められるためには、扶養権利者(今回の事例では父親)が「要扶養状態」にあり、かつ扶養義務者(相談者)に「扶養能力」があることが要件となります。
要扶養状態とは、自らの資産や収入では必要な生活費をまかなえない状態を指し、生活保護における最低生活費が基準の目安となります。
扶養能力とは、扶養義務者が自身の社会的地位にふさわしい生活を維持した上で、なお経済的な余力がある状態を指します。扶養義務者に配偶者や子がいる場合は、扶養義務よりも、配偶者や子に対する生活保持義務が優先します。
一般的に、扶養権利者がギャンブルなどで財産を浪費したり、私生活の行動が悪かったりしても、扶養を求めることは可能だと考えられています。そのため、本件でも、父親が収入源を失って生活が困窮した場合には、相談者に扶養を求める可能性はあります。
相談者としては、まず扶養能力がないことを主張することが考えられます。相談者は子どもの学費が必要とのことなので、これらの支出を理由に、扶養能力がないことを主張することが考えられるでしょう。