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空き部屋を貸すには行政の「許可」が必要?「Airbnb」を始めるときの注意点
2015年09月07日 11時06分

自宅の空き部屋を貸したい人と宿泊先を探す旅行者をつなぐ海外発のインターネットサービス「Airbnb」。宿泊費の安さや個人宅らしい生活感などで人気を集め、急成長している。日本でも登録数が1万3000軒を超えたという。

そんななか、金沢市が8月下旬、市が把握した39件のうち34件が旅館業法上の許可を得ずにサービスを提供していたとして、指導をおこなったと報じられた。自宅であっても、有償の営業行為として人を泊める場合は、自治体の許可が必要なのだという。

貸し出す人と借りる人の双方にメリットがあると思われるAirbnbだが、始める際には注意が必要かもしれない。旅館業法にくわしい櫻町直樹弁護士に聞いた。

自宅の空き部屋を貸したい人と宿泊先を探す旅行者をつなぐ海外発のインターネットサービス「Airbnb」。宿泊費の安さや個人宅らしい生活感などで人気を集め、急成長している。日本でも登録数が1万3000軒を超えたという。

そんななか、金沢市が8月下旬、市が把握した39件のうち34件が旅館業法上の許可を得ずにサービスを提供していたとして、指導をおこなったと報じられた。自宅であっても、有償の営業行為として人を泊める場合は、自治体の許可が必要なのだという。

貸し出す人と借りる人の双方にメリットがあると思われるAirbnbだが、始める際には注意が必要かもしれない。旅館業法にくわしい櫻町直樹弁護士に聞いた。

●旅館業法が適用される可能性がある

「『Airbnb』を利用する場合に限らず、『住居や部屋を、他人を宿泊させるために(短期間)有償で提供する』という行為は、『業として』、つまり反復継続して行った場合には、『旅館業法』が適用される可能性があり、適用された場合は都道府県知事等の許可を受ける必要があります(旅館業法3条1項本文)。

仮に1回だけの有償提供であっても、反復継続して行う『意思』があれば、『業として』に該当しますので、注意が必要です」

旅館業法上の許可を得るためには、どうすればよいのか?

「旅館業法上の許可を得るためには、提供しようとする施設(や設備)が、法令で定められた基準(客室数、客室の有効面積、便所の便器数等、非常に細かく定められています)を満たしている必要があります。

たとえば、『ホテル営業』であれば客室が10室以上、『旅館営業』では5室以上という基準があるので、個人がこの基準を満たすというのは非常に難しいと思います。また、客室を多人数で共用する『簡易宿所営業』であっても、『客室の合計延べ床面積は、33平米以上であること』という基準があります」

この厳しい要件では、「旅行中に留守中の部屋を貸そう」といった気軽な気持ちでは始められなさそうだ・・・。

「ただし、たとえば、国家戦略特別区域法13条では旅館業法の特例が定められており、国家戦略特別区域会議が定めた区域においては、都道府県知事の認定を受けることによって、旅館業法上の許可は不要となります」

現在、首都圏(23区の一部、神奈川県、成田市)や関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)が国家戦略特区と指定されている。しかし、施設を使用させる期間(7〜10日以上)や、部屋の広さ(25平米以上)など、こちらも満たすべき要件は厳しそうだ。

●1年で20万円以上の所得は確定申告が必要

では、もし仮に、これらの条件を満たすことができたとして、会社員が副業として手を出すことはできるのだろうか?

「多くの会社には『副業禁止規定』があると思いますが、副業禁止規定の趣旨が、『職務専念義務』、あるいは『秘密保持義務』との関係で問題が生じることを防止する点にあると考えれば、副業とは業務に影響を及ぼすような性質のものをいい、住居や部屋を提供して収入を得ることは副業にあたらない、と言えそうです。

ただし、住居や部屋の維持管理、宿泊者とのやり取り等で相当の労力と時間を使い、業務に支障が生じるようであれば、副業にあたるとして懲戒の対象になる可能性があるでしょう。

また、住居や部屋の提供によって収入を得た場合、一般論として、たとえば、給与所得者の方で『給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人』については確定申告が必要となります。ですから、会社員の方が住居や部屋を提供し、1年で20万円以上の所得があった場合には、確定申告が必要になると思います」

居住地域のルールをよく確認した上で、始める必要がありそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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