7572.jpg
「リクナビ、マイナビは何も語っていない」就活生が使うべき「2つの武器」とは?
2016年03月28日 14時53分

ブラック企業問題に取り組むNPOや弁護士らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」が3月27日、東京・道玄坂で、就活中の学生や大学関係者らに向けた就活セミナーを開催した。NPO法人POSSEの今野晴貴代表、嶋崎量弁護士、法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授が講演した。

上西教授は「内定はゴールじゃない。働き続けられる職場を見つけて、そこで働き始めるということを当面の目標にしてほしい」と語り、学生らに向け、「職場実態」に目を向けるよう呼びかけた。

ブラック企業問題に取り組むNPOや弁護士らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」が3月27日、東京・道玄坂で、就活中の学生や大学関係者らに向けた就活セミナーを開催した。NPO法人POSSEの今野晴貴代表、嶋崎量弁護士、法政大学キャリアデザイン学部の上西充子教授が講演した。

上西教授は「内定はゴールじゃない。働き続けられる職場を見つけて、そこで働き始めるということを当面の目標にしてほしい」と語り、学生らに向け、「職場実態」に目を向けるよう呼びかけた。

●「就職四季報」が今年からパワーアップ

上西教授は職場実態がわかる指標として、「離職率」と「平均勤続年数」をあげる。労働環境がよければ必然的に人が会社に留まるし、悪ければ辞めていくからだ。業界の平均と比較することで、志望企業の労働環境の程度が推測できる。

しかし、これらのデータはあまり公表されていない上、労働環境を尋ねるのはタブーという「就活の鉄則」があるため、学生が企業に聞くことは難しい。

そこで、上西教授がすすめるのは、市販されている「就職四季報」の活用だ。この本では、東洋経済新報社が主要企業を中心に5000社をアンケート調査し、3年後離職率や平均勤続年数、従業員数と採用者数の比率などのデータをまとめている。

「リクナビ、マイナビはわかりやすいけど、実は何も語っていない。就職四季報は広告ではないので、都合の悪い質問に企業は回答する義務はない。でも、NA(ノーアンサー)とあったときは、『答えたくない何かがあるんだろうな』ということ」

上西教授が「就職四季報」をすすめる理由はほかにもある。

「今年から巻末に初任給の内訳が出るようになったんです」

近年問題になっている「求人詐欺」では、求人票に記載している給与額にあらかじめ残業代が組み込まれていたり、手当が事実上の残業代になっていたりと、金額が不正に水増しされていることが多い。給与の内訳がわかれば、より正確に労働条件の比較ができる。

「ただし、内訳は約6割(の企業)しか出していない。残りの4割は『嫌だよ』ということ。書いてある情報を見るのも大切ですが、なんで回答しなかったのかなということも大切」

●企業に情報開示を義務付ける「若者雇用促進法」

上西教授が活用をすすめるものがもう1つある。それが昨年制定されたばかりの「若者雇用促進法」だ。

この法律では、企業が就活生に対し、幅広い職場情報を提供することを努力義務としている。また、就活生などから求めがあれば、企業は一定以上の情報を開示しなくてはならない。必ずしも希望の情報が提供されるとは限らないが、どういう反応があるかも、企業を選ぶ上での材料になりえる。

本人が情報を請求するのは心理的に難しいだろうが、請求はハローワークや大学のキャリアセンターでもできるという。

「大学に来た求人について、キャリアセンターが求めれば、学生の名前を明かさずに企業から義務で情報を得ることができる。職員さんの頑張りしだい。大きな武器ができたんです」

ただ、根本的な問題は、企業が十分に情報を公開しない上、労働環境を気にする学生は採用しないという雰囲気がまかり通っているところだ。

「『企業に待遇を聞くな』というのは、『どこもある程度は違法だよね』という諦めに似た認識もあると思う。それが常識になってしまい、底が抜けているというのが現状。『積極的に情報を出していく企業のほうがまともだ』という流れを作っていきたい」

と上西教授は述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る