1125.jpg
クビになった「鳥貴族」盗撮店長、「めちゃくちゃ軽い」罪しか適用されない?
2018年07月05日 10時56分

居酒屋チェーン「鳥貴族」の男性店長が、アルバイトの女性従業員の着替えを盗撮したとして、懲戒解雇された。盗撮行為をめぐっては、現在、警察による捜査もおこなわれており、会社側は「全面的に協力する」としている。

鳥貴族の総務課によると、京都市内にある店舗の男性店長が6月15日、店の更衣室で、携帯電話を使って、女性従業員の着替えを盗撮したという。店長は社内報告前に、警察へ出頭した。会社側は、被害のあった従業員に対して、謝罪したうえで見舞金を支払ったという。

この従業員とみられる人物は7月2日、ツイッター上で盗撮被害を告発。証拠とみられる写真を添付しつつ、「逮捕されへんことが意味わからへん。携帯に証拠も残ってるのにな!この世の中ほんまに意味がわからん」と投稿していた。

今回のような盗撮は、どんな罪に問われる可能性があるのだろうか。若林翔弁護士に聞いた。

居酒屋チェーン「鳥貴族」の男性店長が、アルバイトの女性従業員の着替えを盗撮したとして、懲戒解雇された。盗撮行為をめぐっては、現在、警察による捜査もおこなわれており、会社側は「全面的に協力する」としている。

鳥貴族の総務課によると、京都市内にある店舗の男性店長が6月15日、店の更衣室で、携帯電話を使って、女性従業員の着替えを盗撮したという。店長は社内報告前に、警察へ出頭した。会社側は、被害のあった従業員に対して、謝罪したうえで見舞金を支払ったという。

この従業員とみられる人物は7月2日、ツイッター上で盗撮被害を告発。証拠とみられる写真を添付しつつ、「逮捕されへんことが意味わからへん。携帯に証拠も残ってるのにな!この世の中ほんまに意味がわからん」と投稿していた。

今回のような盗撮は、どんな罪に問われる可能性があるのだろうか。若林翔弁護士に聞いた。

●京都府迷惑防止条例は適用されない

「今回のような盗撮は、もし東京都でおこなわれていれば、都迷惑防止条例違反にあたります(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)。

今年7月1日、改正『都迷惑防止条例』が施行されました。それまでは、盗撮行為に関して、『公共の場所』や『公共の乗り物において』という制限が付いていました。改正条例では、住居や更衣室のほか、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所も対象に入っています」

鳥貴族によると、盗撮のあったのは、京都市内の店舗だったということだ。今回のケースはどうだろうか。

「一方で、京都府迷惑防止条例は、改正前の都条例とほとんど同じ内容となっています。つまり、住居や更衣室などは『公共の場所』といえないことから、今回のケースについて、府条例は適用されません。

スマホの普及によって、盗撮も増えている事情もあり、都条例は、住居など範囲が拡大されました。もし仮に、京都府も、東京都と同じように改正されていたら、条例違反で逮捕されていたかもしれません」

●軽犯罪法違反にあたるが・・・

過去には、盗撮目的で女子トイレや更衣室に入ったとして、刑法の住居侵入罪で検挙された事例は少なくない。今回のケースは、住居侵入罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)にあたらないのだろうか。

「住居侵入罪は『管理権者の意思に反する侵入が違法』とされています。ただ今回のケースでは、店長が、盗撮行為をおこなっていたということです。店長は、『店のどこでも入れる』という管理権があるものと捉えられてしまう可能性があります。その評価が争われた場合、警察も、住居侵入罪の適用に及び腰になるのではないかと思います」

ということは、今回のケースで、店長は罪に問われないということなのだろうか。

「軽犯罪法違反にあたります。『正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者』(1条23号)は、拘留または科料に処されます。盗撮も『のぞき』にあたるとされています。

ただ、拘留は『1日以上30日未満』の間、刑事施設に拘置するもので、科料は『1000円以上1万円以下』の財産刑(罰金のようなもの)です。被害にあった女性からすれば、『めちゃくちゃ軽い』といってもいいかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る