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整体施術後にシビれ「ヘルニアの可能性が高い」…賠償を得るための高い壁
2016年11月29日 00時00分

知人に勧められたチェーンの整体院に行ったら、怪我をしてしまったかもしれない。そんな人が、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せました。知人に勧められて行ったお店を気に入り、回数券を買って通うようになったものの、徐々に「(施術)翌日に痛み、最後には痺れやだるさを感じるようになってしまいました」。

そこで、整形外科を受診したところ「ヘルニアの可能性が高い」と言われたそうです。相談者としては、原因は整体院での施術以外に思い浮かびません。そこで「回数券(未使用分)の返金」「施術代全額の返金」「整形外科治療費請求」などができないかと聞いています。

施術行為によって怪我などを負った場合、民法の「不法行為」や「債務不履行」があったとして、返金が認められる可能性もあります。しかし「事実の証明」が必要であるため、賠償責任が認められるのは、難しいようです。なぜ難しいのでしょうか。羽賀千栄子弁護士の解説をお届けします。

知人に勧められたチェーンの整体院に行ったら、怪我をしてしまったかもしれない。そんな人が、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せました。知人に勧められて行ったお店を気に入り、回数券を買って通うようになったものの、徐々に「(施術)翌日に痛み、最後には痺れやだるさを感じるようになってしまいました」。

そこで、整形外科を受診したところ「ヘルニアの可能性が高い」と言われたそうです。相談者としては、原因は整体院での施術以外に思い浮かびません。そこで「回数券(未使用分)の返金」「施術代全額の返金」「整形外科治療費請求」などができないかと聞いています。

施術行為によって怪我などを負った場合、民法の「不法行為」や「債務不履行」があったとして、返金が認められる可能性もあります。しかし「事実の証明」が必要であるため、賠償責任が認められるのは、難しいようです。なぜ難しいのでしょうか。羽賀千栄子弁護士の解説をお届けします。

●「事実の証明」をするのは相談者

現時点では、「ヘルニアの可能性が高い」ということで、診断はついていないようです。仮に、ヘルニアと確定診断されたとしても、その前提として、「整体院で施術を受けるまでヘルニアではなかった」という事実が証明されなければなりません。

そして「整体院に行くまではヘルニアではなかった」、「整体院に行った直後にヘルニアだった」という事実が証明できたとしても、裁判になれば、「整体院のどのような施術により、どのような経過をたどってヘルニアになったのか」という主張・立証責任は、原告であるあなた(相談者)が負うことになります。

それとともに、その施術が整体師の注意義務に違反している、という、整体師の過失も主張・立証する必要があります。損害賠償請求は、過失の立証と因果関係の立証が成功して初めて認められます。

しかし裁判で、前述したような因果関係や過失を証明するのは困難でしょう。それらを基礎づける事実を証明するためには、相談者側の立証責任として、整体院側にも資料を提出させる必要があります。整体院に、どの程度の施術の記録があるのか分かりませんが、上記を証明できるような「身体の各部に対し、どの程度の力を入れたのか」などの記録が残っているなど、資料があるとは考え難いからです。

被害を訴えて、整体院と交渉して、任意の対応を期待することはできるかもしれません。しかし、整体院が対応を拒否した場合、それを強制することは困難と思われます。

【編集部より】羽賀弁護士の解説にあるように、過失や因果関係の立証は難しい現実があります。しかし、今回の相談に限らず、法的資格制度がない整体でのトラブルは珍しくありません。お店選びは慎重にする必要がありそうです。

(弁護士ドットコムライフ)

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