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気性の荒い「70代同僚」に首絞められて夜も眠れず…「被害届」を出すべきか?
2020年06月01日 09時57分

「会社でパート社員に首を絞められました」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者の会社には、気性が荒く、気に入らないことがあると物に当たったり、怒鳴ったりするパート社員の70代男性がいる。

ある日の勤務中、男性が持っていた荷物が相談者にぶつかった。思わず「痛い」と声を上げると、男性は「なんだこのやろー!」と逆ギレ。相談者の首を絞めてきたという。

目撃した同僚がすぐに止めに入ったため、大事には至らなかったが、相談者はショックを受け、夜も眠れない状態が続いている。また、首に違和感が残っているようだ。上司も男性に口頭で注意したが、男性には反省している様子はなく、態度も変わらないという。

「会社でパート社員に首を絞められました」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者の会社には、気性が荒く、気に入らないことがあると物に当たったり、怒鳴ったりするパート社員の70代男性がいる。

ある日の勤務中、男性が持っていた荷物が相談者にぶつかった。思わず「痛い」と声を上げると、男性は「なんだこのやろー!」と逆ギレ。相談者の首を絞めてきたという。

目撃した同僚がすぐに止めに入ったため、大事には至らなかったが、相談者はショックを受け、夜も眠れない状態が続いている。また、首に違和感が残っているようだ。上司も男性に口頭で注意したが、男性には反省している様子はなく、態度も変わらないという。

●男性の行為は「暴行」「傷害」にあたりうる

相談者は被害届を出すことも検討している。坂口靖弁護士は、男性の行為は「暴行罪」あるいは「傷害罪」にあたりうると指摘する。

「『暴行』とは『身体に対する有形力の行使』のことをいいます。したがって、首を絞める行為は『暴行』に該当し、高齢男性(加害男性)の行為は、暴行罪にあたるといえるでしょう。

また、『傷害』とは『人の生理的機能を害すること』をいいます。相談者は『首に違和感』があるとのことなので、頸椎捻挫等の他覚所見(医師の診察・検査等で症状を裏付けることができるもの)のない負傷であっても『人の生理的機能を害』したと評価できます。ただちに診断書を取得すれば『傷害罪』での立件の可能性も十分にあります」

●慰謝料請求が認められる可能性は高いが…

では、男性に慰謝料請求をすることはできるのだろうか。坂口弁護士は、次のように説明する。

「慰謝料請求は、民法上の不法行為(民法709条)が成立する場合に認められます。

今回のケースの場合、前述のように暴行罪や傷害罪という犯罪が成立するものですので、民法上の不法行為も問題なく成立すると考えられます。したがって、慰謝料請求を含む損害賠償請求をすることは可能であるものと考えられます。

ただし、暴行罪に留まったり、怪我の程度が小さい場合には、10万円など少ない金額しか慰謝料が認められない可能性もあります。

このような実情から、実際に被害者が弁護士に依頼し、加害男性に対して慰謝料を請求することは、費用対効果の点で(弁護士費用の方が高額になってしまうことから)事実上、難しいことも想定されます。

このような刑事事件がらみの事案では、被害届の提出を先行させ、刑事処罰を受けたくないと考える加害男性側からの示談の申入れを待つということのほうが、民事責任(慰謝料の支払い等)も追求できる可能性も高まることが少なくありません。被害者に対してはそのようなアドバイスをすることも非常に多いです」

●重要になるのは「証拠」

このように暴力を伴う問題行動を起こす社員がいる場合、どのような対策が必要だろうか。

「警察への被害届の提出および損害賠償請求をしっかりと実施するという対応は、今後の同種事案の再発防止のためには非常に有用であることは間違いありません。

何の責任追及も受けない状況が継続すれば、加害男性は自身の言動を改める機会がまったくなく、これまでと同様の言動を繰り返す可能性が極めて高いものと考えられるからです。

また、会社内での暴行事件とのことですので、会社への届け出(被害申告)も必要不可欠であるものと考えられます。会社側から加害男性に対して指導勧告などが実施され、場合によっては加害男性の退職等へとつながる場合もあります。

会社への被害申告をしていたにもかかわらず、会社側が加害男性を放置していたような場合、会社に対する損害賠償請求も可能になるということも想定できます」

坂口弁護士によると、警察への被害届の提出、会社への被害申告、会社への責任追及などの場面において重要となるのは「証拠」だという。

「暴行(傷害)被害に関しては、その状況がビデオで撮影されていることは極めて稀です。そのため、『被害者の供述(暴行被害を受けたとの供述)』が重要な証拠になります。

そして、被害者の暴行被害を受けたとの供述の信用性は、暴行被害を受けた人が通常とるであろう行動を迅速にとっているか否かという点が大きな判断要素となることが少なくありません。

仮に暴行被害を受けた場合には『できるだけ早期に』警察への相談をする、病院で診察治療を受ける、会社に報告する等の行動を実行しておくことが極めて重要となります」

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