12344.jpg
金欠学生、マックやスタバで「無料Wi-Fi」タダ乗り…商品買わずに使っていいの?
2021年03月22日 10時37分

親からの仕送りで都内でひとり暮らしをする大学生のM君にとって、経済的なやりくりは死活問題。1本のペットボトルを買うのも躊躇する毎日だ。そんなM君のとっておきの節約方法は「無料Wi-Fiのタダ乗り」だという。

たとえば、マクドナルドやスターバックス。店の近くまで行けば、外からでも店内のWi-Fiに無料でつなぐことができるというのだ。

M君は「時間制限があるので、何時間もいられませんが、YouTubeなどで動画を見たり、LINEで通話することができます。通信量がかかりそうな時は電車を途中下車してでも、無料Wi-Fiのタダ乗りができる場所を探しています」と話す。

しかし、本来、無料Wi-Fiは利用客に向けたサービスのはずだ。M君の行為に法的な問題はないのだろうか。店側はM君にどう対応できるのか。吉田要介弁護士に聞いた。

親からの仕送りで都内でひとり暮らしをする大学生のM君にとって、経済的なやりくりは死活問題。1本のペットボトルを買うのも躊躇する毎日だ。そんなM君のとっておきの節約方法は「無料Wi-Fiのタダ乗り」だという。

たとえば、マクドナルドやスターバックス。店の近くまで行けば、外からでも店内のWi-Fiに無料でつなぐことができるというのだ。

M君は「時間制限があるので、何時間もいられませんが、YouTubeなどで動画を見たり、LINEで通話することができます。通信量がかかりそうな時は電車を途中下車してでも、無料Wi-Fiのタダ乗りができる場所を探しています」と話す。

しかし、本来、無料Wi-Fiは利用客に向けたサービスのはずだ。M君の行為に法的な問題はないのだろうか。店側はM君にどう対応できるのか。吉田要介弁護士に聞いた。

●業務妨害罪や建造物侵入罪になることも

——飲食店などが整備している無料Wi-Fiに「タダ乗り」することで、何かしらの罪に問われるのでしょうか。

大量の通信をおこなったことで、飲食店などが整備している無料Wi-Fiに影響をおよぼすような事態(通信制限など)が生じれば、偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性があります。

また、タダ乗りしている場所が店の敷地内であれば、建造物侵入罪(刑法130条)が成立する可能性がありますし、店の敷地内でタダ乗りしている人が、店側から退去を求められたのに応じない場合は、建造物不退去罪(同130条)が成立する可能性があります。

——タダ乗りすることで、民事責任を問われることはありますか。

飲食店などが整備している無料Wi-Fiに影響をおよぼすような事態(通信制限など)が生じれば、損害賠償責任を問われる可能性があります。

また、店側は通常、店舗利用することを前提に無料Wi-Fiを提供しているでしょうから、通信制限などの事態が生じていなくても、無料Wi-Fiの提供について利用規約などに明記しておけば、タダ乗りした人の店舗の利用を拒否することは可能だと思われます。

●店舗外からのタダ乗り阻止は結構悩ましい…

——店側が利用客でない者のタダ乗りに気づいた場合、止めさせる方法はありますか。

タダ乗りの場所が店の敷地内であれば、敷地内から退去しないことは建造物不退去罪が成立する可能性があるので、店の敷地内から退去を求めることで止めさせることができます。

店の敷地外の場合でも、利用客でない者のタダ乗りによって、利用客の通信速度が低下する可能性もありますので、店側はタダ乗りを止めるように要求することは可能だと思います。ただし、強制力はありません。

——強制力がないとすると、タダ乗りをあらかじめ阻止する方法を検討したほうがよいのでしょうか。

たとえば、無料Wi-Fi利用のためのIDやパスワードを頻繁に変更し、利用客に対し、その都度知らせる方法をとれば、利用客以外の利用をかなり制限できると思います。

一方で、そのような対策は、利用客に毎回新たにIDやパスワードの入力を求めるということでもあります。

利用客でない者のタダ乗りをあらかじめ阻止する方法を実効的なものにすればするほど、利用客が無料Wi-Fiを利用するためのハードルをあげてしまうものが多いと思います。

利用客に対するサービスの利便性を損なえば、店から利用客の足が遠のく可能性もないとはいえません。無料Wi-Fiにタダ乗りしている人は、店に迷惑をかけていると自覚すべきでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る