12887.jpg
「今まで無縁だった層に貧困は広がっている」支援団体が危機感 所持金が千円未満の20、30代も
2020年12月30日 09時19分

新型コロナウイルスの影響を受けて、仕事、住居がなくなった人々にとって、日雇いの仕事がなくなる厳しい年の瀬がやってきた。福祉事務所が閉まる年末年始(12月29日~1月3日)には、行き場を失う人も多い。そこで、この間、民間団体が中心になり、各地で相談会を主催し食料を提供している。

その中の一つ、約40の支援団体による「新型コロナ緊急アクション」もまた、生活相談と食料を提供する。調理の中心を担うのが、料理研究家でビッグイシュー基金の共同代表、枝元なほみさんだ。「食べ物が介在すると、人と人のつながりが柔らかくなる。少しでもつながれる時間を持ちたい」と意気込みを語る。

「年越し大人食堂2021」開催の記者会見(12月21日)の席上、出席したつくろい東京ファンドの代表理事稲葉剛さんらは口をそろえて「今まで無縁だった層に貧困は広がっている」という。

最前線で困窮した人々と対峙している、新型コロナ緊急アクションの瀬戸大作さんは、SOSに基づいて、相談者が待つ場所に出向き、緊急宿泊費と生活費を、寄付で集まった「緊急ささえあい基金」から直接手渡ししてきた。その数は257件以上。

コロナ感染拡大後、顕著なのは「20、30代から、所持金1000円を切った形でのSOS」(瀬戸さん)だ。この年末に入っても、瀬戸さんの相談電話は鳴りやまない。

新型コロナウイルスの影響を受けて、仕事、住居がなくなった人々にとって、日雇いの仕事がなくなる厳しい年の瀬がやってきた。福祉事務所が閉まる年末年始(12月29日~1月3日)には、行き場を失う人も多い。そこで、この間、民間団体が中心になり、各地で相談会を主催し食料を提供している。

その中の一つ、約40の支援団体による「新型コロナ緊急アクション」もまた、生活相談と食料を提供する。調理の中心を担うのが、料理研究家でビッグイシュー基金の共同代表、枝元なほみさんだ。「食べ物が介在すると、人と人のつながりが柔らかくなる。少しでもつながれる時間を持ちたい」と意気込みを語る。

「年越し大人食堂2021」開催の記者会見(12月21日)の席上、出席したつくろい東京ファンドの代表理事稲葉剛さんらは口をそろえて「今まで無縁だった層に貧困は広がっている」という。

最前線で困窮した人々と対峙している、新型コロナ緊急アクションの瀬戸大作さんは、SOSに基づいて、相談者が待つ場所に出向き、緊急宿泊費と生活費を、寄付で集まった「緊急ささえあい基金」から直接手渡ししてきた。その数は257件以上。

コロナ感染拡大後、顕著なのは「20、30代から、所持金1000円を切った形でのSOS」(瀬戸さん)だ。この年末に入っても、瀬戸さんの相談電話は鳴りやまない。

●「共助とか言っている場合ではない。私たちはみな当事者」

   2008年、東京・日比谷公園で行われた「年越し派遣村」は、リーマンショックにより主に製造業で、企業の寮で暮らしていた中高年男性が派遣切りにあい、路上に押し出されてしまった人たちを救済するために開かれた。今年のコロナ禍では、若い世代とともに学生、外国人、そして女性たちの助けも相次いでいる。

当時を知る、宇都宮健児弁護士は次のように話す。

「貧困が可視化されたのに、是正してこなかった影響が幅広い層で広がっている。もはや生存の危機。これ以上自助ではやっていけないので公助でなんとかすべき。政治の出番だと思う」

昨年に続いて大人食堂は2年目。食堂で温かい食事を提供し、会食してきたが、このコロナで食事をするのは厳禁とあって、お弁当を手渡しする。2日間で400食を提供するのは枝元さんだ。

「同じような年代の女性単身者の多くが、非正規で働いていることを聞くにつけ、このコロナ禍で仕事を失うのではないかと気が気ではないのです。こんなに寒い中 放り出されていいはずはない。微々たることしかできませんが、温かいものを提供して、コミュニケーションを少しでもとりたい」

大人食堂の開催に合わせて、北海道帯広の農家からは、コンテナでじゃがいも、ニンジンなどの野菜が届いた。

「ステイホームになって、野菜があまり消費されずに捨てられていることもあり、うまく分配できていない状況です。農家の方もかつかつでやっている中で送ってもらったもので、本当に感謝して大事に使いたいと思います。共助とか言っている場合ではない。私たちは、みんな当事者。皆さんも一緒になって考えてほしい」と話していた。

相談窓口は様々なかたちで開催されている(https://note.com/ddsharinnouta/n/n83863ea29199)。 少しでも困ったことがあれば、ぜひ訪れて欲しい。

【プロフィール】樋田敦子。ルポライター。明治大学法学部卒業後、新聞記者を経てフリーランスに。雑誌でルポを執筆のほか、著書に「女性と子どもの貧困」「東大を出たあの子は幸せになったのか」等がある。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る