14038.jpg
オリンピックなどのスポーツ観戦、近所との騒音トラブルに注意
2012年07月07日 21時00分

今月1日まで開催されていたサッカーのUEFA欧州選手権、そしていよいよ27日に開幕するロンドンオリンピックと、4年に1度の世界的なスポーツイベントが続き、スポーツファンにとっては楽しみな時期を迎えた。なかには家族や友人と揃って観戦するという人もいるだろう。

しかし一方で、過去にこのようなスポーツイベントなどの観戦で熱中するあまりつい大きな声をあげてしまったり、友人たちと集まって騒いだりすることで、近所の人から苦情を言われた、あるいは反対に近所の騒音を迷惑に感じた経験がある人もいるのではないだろうか。

それぞれが節度を守って観戦すれば良いだけの話ではあるが、残念ながら一部には騒音を注意されても気に留めないような人がいるようで、近所との騒音トラブルの事例は少なくない。

それではもし近所の騒音によって迷惑を受け、自ら注意しても相手に改善が見られないような場合には、法的にはどのような対応が可能なのだろうか。

近所トラブルの相談事例に詳しい梅村正和弁護士によると、
「騒音が毎日続いたため病気になったような場合には、民事としては、騒音差し止めの仮処分、刑事としては、傷害罪となることがあります。著名な例として、民事では、病気療養中の女性の申立てで、公園での子供の歓声がうるさいとして差し止めの仮処分を認めた東京地裁八王子支部の判断、刑事では、女性が大音量の音楽などによって隣人を高血圧症の悪化や睡眠障害にさせたとして傷害罪で実刑を受けたものがありました。病気になるほどではなくても日常生活に支障が生じるような場合には、騒音差し止めが認められる可能性はあるでしょう。」

「また、健康障害などの損害の賠償請求をすることも可能になってきます。時には、騒音を止めるように指示した警告書を弁護士から出してもらうだけで、騒音が今までより小さくなることもあります。この辺は、他のトラブルと同様で、話し合いで済むか、裁判までやるかは、最終的には相手次第ということになります。」

「ただ、法的な解決が役に立つのは、継続的に何日にも渡って騒音が続くような場合であり、そのときだけの一時的な騒音に対しては、警察に連絡して注意してもらうというような対処療法的方法しかできないことが多いでしょう。」

ロンドンオリンピックのように開催国と日本の時差が大きい場合は、競技が生中継される時間帯が日本時間の深夜から明け方になることが多く、観戦する際には近所への配慮がより求められる。

もし近所とトラブルになってしまうと、相手への迷惑はもちろん自分自身の盛り上がりにも水を差すことになってしまうので、節度を守った観戦を心掛けたい。

(弁護士ドットコムニュース)

今月1日まで開催されていたサッカーのUEFA欧州選手権、そしていよいよ27日に開幕するロンドンオリンピックと、4年に1度の世界的なスポーツイベントが続き、スポーツファンにとっては楽しみな時期を迎えた。なかには家族や友人と揃って観戦するという人もいるだろう。

しかし一方で、過去にこのようなスポーツイベントなどの観戦で熱中するあまりつい大きな声をあげてしまったり、友人たちと集まって騒いだりすることで、近所の人から苦情を言われた、あるいは反対に近所の騒音を迷惑に感じた経験がある人もいるのではないだろうか。

それぞれが節度を守って観戦すれば良いだけの話ではあるが、残念ながら一部には騒音を注意されても気に留めないような人がいるようで、近所との騒音トラブルの事例は少なくない。

それではもし近所の騒音によって迷惑を受け、自ら注意しても相手に改善が見られないような場合には、法的にはどのような対応が可能なのだろうか。

近所トラブルの相談事例に詳しい梅村正和弁護士によると、
「騒音が毎日続いたため病気になったような場合には、民事としては、騒音差し止めの仮処分、刑事としては、傷害罪となることがあります。著名な例として、民事では、病気療養中の女性の申立てで、公園での子供の歓声がうるさいとして差し止めの仮処分を認めた東京地裁八王子支部の判断、刑事では、女性が大音量の音楽などによって隣人を高血圧症の悪化や睡眠障害にさせたとして傷害罪で実刑を受けたものがありました。病気になるほどではなくても日常生活に支障が生じるような場合には、騒音差し止めが認められる可能性はあるでしょう。」

「また、健康障害などの損害の賠償請求をすることも可能になってきます。時には、騒音を止めるように指示した警告書を弁護士から出してもらうだけで、騒音が今までより小さくなることもあります。この辺は、他のトラブルと同様で、話し合いで済むか、裁判までやるかは、最終的には相手次第ということになります。」

「ただ、法的な解決が役に立つのは、継続的に何日にも渡って騒音が続くような場合であり、そのときだけの一時的な騒音に対しては、警察に連絡して注意してもらうというような対処療法的方法しかできないことが多いでしょう。」

ロンドンオリンピックのように開催国と日本の時差が大きい場合は、競技が生中継される時間帯が日本時間の深夜から明け方になることが多く、観戦する際には近所への配慮がより求められる。

もし近所とトラブルになってしまうと、相手への迷惑はもちろん自分自身の盛り上がりにも水を差すことになってしまうので、節度を守った観戦を心掛けたい。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る