14639.jpg
エアコンや扇風機なく「うちわだけ」は人権侵害…日弁連が徳島刑務所に熱中症対策を勧告
2024年08月07日 15時59分
#熱中症 #刑務所 #徳島刑務所 #エアコン

徳島刑務所の昼夜間単独室にエアコンも扇風機も設置されておらず、うちわの貸与などしか認められないのは人権侵害にあたるとして、日本弁護士連合会は、受刑者の熱中症予防としてすべての居室にエアコンを整備するなどの対策をとるべきだと勧告した。

日弁連が8月7日の定例記者会見で発表した。徳島刑務所長への勧告は7月30日付で、全国の刑事収容施設と法務省にも勧告書を送付している。日弁連の調査によると、全国の刑事収容施設で2022年までの2年間、のべ34施設で熱中症が発生していた。

徳島刑務所の昼夜間単独室にエアコンも扇風機も設置されておらず、うちわの貸与などしか認められないのは人権侵害にあたるとして、日本弁護士連合会は、受刑者の熱中症予防としてすべての居室にエアコンを整備するなどの対策をとるべきだと勧告した。

日弁連が8月7日の定例記者会見で発表した。徳島刑務所長への勧告は7月30日付で、全国の刑事収容施設と法務省にも勧告書を送付している。日弁連の調査によると、全国の刑事収容施設で2022年までの2年間、のべ34施設で熱中症が発生していた。

●昼夜間単独室には扇風機やサーキュレーターがない

徳島刑務所の昼夜間単独室に収容されていた男性受刑者が、人権救済を申し立てた。

工場で作業する受刑者を収容する居室などには、廊下にエアコンが備えられ、壁掛けの扇風機が室内にあり、扇風機がない居室であってもサーキュレーターが貸与される。

しかし、昼夜間単独室ではそのような整備が一切なく、熱中症対策として、昼間にうちわが貸与されるなどに限られる。また、コップ1杯のスポーツドリンク(平日)か、500ccペットボトルのスポーツドリンクが支給されているだけだった。

男性は熱中症や脱水症状にならなかったが、こうした状況では熱中症になりうる受刑者も出てくると考えて、2021年夏から改善や苦情を申し入れたものの、状況に変化はなかったという。

●自殺自傷防止のため電源コードのついたサーキュレーターは貸し出せず

徳島刑務所は、日弁連人権擁護委員会の照会に対して、自傷行為防止の観点から電源コードのあるサーキュレーターの貸し出しは慎重に判断しなければならず、またコンセントのない昼夜間単独室もあるため、収容者の公平さを担保するため一律のサーキュレーター貸し出しはしていないと回答した。

2024年に入って、徳島刑務所の昼夜間単独室の廊下には、エアコンが取り付けられたという。日弁連の人権擁護委員会は、定例記者会見で「エアコンの取り付けなどが進むが、対応はまだ不十分。徳島刑務所で熱中症対策をきちんとやってください」と呼びかけた。

日弁連が2022年10月、全国の刑事施設に対して直近2年間の熱中症発生を調査したところ、のべ34施設で発生していたことがわかった。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る