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「難民審査の事情聴取」で書類を投げられたケースも・・・弁護士会が難民申請者を調査
2016年03月26日 10時09分

関東弁護士会連合会(理事長・藤田善六弁護士)が、日本で難民申請をおこなった外国人に聞き取り調査をおこなったところ、回答した計127人のうち43人(約34%)が、難民審査をおこなう法務省の職員(難民調査官)について、事情聴取のときの対応に「問題があった」と答えていたことがわかった。

関東弁護士会連合会(理事長・藤田善六弁護士)が、日本で難民申請をおこなった外国人に聞き取り調査をおこなったところ、回答した計127人のうち43人(約34%)が、難民審査をおこなう法務省の職員(難民調査官)について、事情聴取のときの対応に「問題があった」と答えていたことがわかった。

●「難民調査官に机を叩かれたり、書類を投げつけられた」

この調査では、同連合会の「外国人の人権救済」委員会が、難民認定の手続きで、国が適正な運用をおこなっているかどうかを調べた。2014年8月14日〜28日の間、難民申請中か、過去に申請したことがあった計127人に対して、面談または電話でおこなった。

調査では、難民認定申請の事情聴取の際に、難民調査官の対応に問題がなかったか、通訳人のスキル(語学力など)に問題がなかったかなど、5つ項目について聞いた。その結果、回答した127人の3分の1にあたる43人が、難民調査官による事情聴取時の対応に「問題があった」と回答した。

「問題があった」と答えた人からは、難民調査官に机を叩かれたり、書類を投げつけられたというケースや、回答を急かされたり、一方的に説明を打ち切られたケースが報告されたという。また、通訳人のスキルに「問題があった」と答えた人が、50人(約39%)に上った。

●事情聴取の「可視化」を要望

難民をめぐっては、2014年に5000人が日本政府に難民申請をおこなったのに対して、認定されたのは11人。2015年には、7586人が難民申請して、27人が認定されたにとどまっている(法務省速報値)。

難民認定の手続きは大きくわけて、(1)難民認定申請、(2)難民不認定処分に対する異議申立て、(3)難民不認定処分の取消請求訴訟の3つにわかれる。このうち、一つ目の手続きの(1)難民認定申請では、難民調査官による事情聴取があるが、弁護士など代理人の立会いが認められず、「密室」でおこなわれていると指摘されている。

同連合会は2月18日、今回の調査結果をもとに、難民認定の申請手続きが適正に運用されているかについて徹底した調査を行い、その結果を公表するとともに、申請手続の際の事情聴取の全過程を録画する制度を導入するよう求める理事長声明を出した。同月、法務省に対して、同様の要望書を提出した。

同連合会の「外国人の人権救済」委員会は3月22日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。駒井知会弁護士は「われわれからすれば、難民として認められるべき人が、認められていない。その要因の一つして、難民認定申請で、十分に事情聴取がおこなわれていないことがある。弁護士の立会いがあればいいと思うが、少なくとも可視化が必要だ」と述べた。

法務省入国管理局難民認定室の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に「要望書は、貴重なご意見として受け取った。可視化に至急で対応することはないが、今後、運用状況を含めて検討し、改善していく際の参考にしたいと考えている」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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