15346.jpg
子どもがほしい夫とほしくない妻・・・こんな夫婦は「離婚」すべきなのか?
2014年05月26日 15時53分

「夫に望まない妊娠をさせられました」。そんな悩みが、ネットの相談サイトに投稿されていた。妻は子どもがほしくなかったが、夫は子どもがほしい。そんな夫婦のあいだで、ちょっとした「ミス」により、妻が妊娠してしまったのだという。

妻が中絶することを伝えたところ、夫からは「それなら、離婚する!」という答えが返ってきた――。このような場合、「子どもを作らないのなら離婚したい」という夫の望みにしたがって、妻は離婚に応じなければいけないのだろうか。離婚問題にくわしい堀井亜生弁護士に聞いた。

「夫に望まない妊娠をさせられました」。そんな悩みが、ネットの相談サイトに投稿されていた。妻は子どもがほしくなかったが、夫は子どもがほしい。そんな夫婦のあいだで、ちょっとした「ミス」により、妻が妊娠してしまったのだという。

妻が中絶することを伝えたところ、夫からは「それなら、離婚する!」という答えが返ってきた――。このような場合、「子どもを作らないのなら離婚したい」という夫の望みにしたがって、妻は離婚に応じなければいけないのだろうか。離婚問題にくわしい堀井亜生弁護士に聞いた。

●民法に定められた「離婚原因」とは?

「裁判上認められる『離婚原因』の一つとして、『婚姻を継続し難い重大な事由』(民法770条1項5号)というものがあります」

堀井弁護士は、このように民法の条文を紹介する。

「これは、夫婦の婚姻生活が破綻した場合、つまり、やり直しがきかない状況のことを指します」

では、子どもをほしがる夫とそうではない妻が対立している場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるのだろうか。

「現在の日本では、社会通念上、婚姻生活の当事者が『子供を持たない』という特段の合意をしていない限り、『子どもを持つこと』が暗黙の了解であり、婚姻関係を継続する重要な前提と考えられます。

したがって、夫が子どもをほしがっているのに、妻が同意していないというのは、婚姻生活を破綻させかねない状態といえます」

このように堀井弁護士は説明する。

「ただし、結婚する際に子どもを産まないことについて夫婦の間で合意出来ていれば離婚原因にならない可能性があります。また、妻の子供を持たないという希望が、時期的な問題や病気などの合理的理由であれば、それだけで離婚は認められない可能性が高いです。

ですので、出産に関して夫婦の意見が対立していることが離婚原因にあたるか否かは、それまでの夫婦の話し合いの内容や理由などを考慮して総合的に判断されることになるでしょう。少なくとも意見が一度対立しただけでなく、お互い十分に話し合っても解決する見込みが無いという事情が必要だと思われます。」

夫婦関係を円満に保つ秘訣は、お互いに相手の考えを理解することだ。もし「子どもはほしくない」と思っているのならば、結婚前に隠さずにそのことを打ち明けた上で、パートナーもその気持ちを理解できるよう努めるべきなのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る