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「行政訴訟の裁判長が『国の代理人』になるのはおかしい」 弁護士335人、45団体が「判検交流」に抗議
2022年10月31日 17時54分

国を相手とする行政訴訟を担当していた裁判長を、国側の行政訴訟の責任者である法務省訟務局長に出向させた人事は、裁判の公正への信頼を害するとして、有志の弁護士らが10月31日、最高裁長官と法務大臣あてに抗議する申し入れをおこなった。

国を相手とする行政訴訟を担当していた裁判長を、国側の行政訴訟の責任者である法務省訟務局長に出向させた人事は、裁判の公正への信頼を害するとして、有志の弁護士らが10月31日、最高裁長官と法務大臣あてに抗議する申し入れをおこなった。

●「裁判の公正への信頼を損なう」

申入書などによると、ことし9月1日付で、東京地裁の行政訴訟専門部の部総括裁判官(裁判長)を法務省訟務局長に出向させる人事がおこなわれた。訟務局長は、国側の代理人が所属する部門トップにあたる。

こうした裁判所と法務省の間の人事交流は「判検交流」と呼ばれているが、これまでも裁判所の独立・裁判の公正の観点から問題が指摘されており、刑事分野についてはすでになくなっているという。

ところが、今回の人事交流によって、現在も続いている行政事件に関して、裁判官同士の話し合いなどの内容を「国側の責任者が知っている」という事態が生じてしまった。

また、出向が伝えられた時期は不明だが、すでに知ったあとに判決に関わっていた場合、仮に敗訴した原告が今回の人事交流を知ったら、裁判の公正への信頼を損なうことは明らかだとしている。

●「行政訴訟分野の判検交流を廃止すべき」

今回、抗議の申し入れを呼びかけたのは、全国の弁護士19人。弁護団35団体、弁護士団体10団体、弁護士316人が賛同した。

この日の申し入れ後、東京・霞が関の司法記者クラブでは、この裁判長が判決を下したり、審議の途中で出向したケースを担当している弁護士が記者会見を開いた。

仲岡しゅん弁護士は「ついこの間まで審議していた裁判長が、相手側の代理人になったということ。はたして(原告は)信用できるのか」と述べた。大橋毅弁護士は「それだけ異常なことが起きている。審議の秘密が害されない措置をとってほしい」と訴えた。

さらに駒井知会弁護士は「判検交流は一見、良い言葉のように聞こえるが、三権分立への重大な挑戦だ」「これまで判検交流を許してきてしまったからこそ、ここまでエスカレートした」と話した。

弁護士らは、行政訴訟分野の判検交流を廃止するようもとめている。

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