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柔道教室元塾長に懲役22年の判決、睡眠導入剤入りジュースを飲ませ女児らに性的暴行…千葉地裁「卑劣」
2025年10月22日 19時00分
#性犯罪 #不同意性交等罪 #柔道教室

柔道教室の塾長だった男が、教え子の女児ら7人に対して、性的暴行を加えたとして不同意性交等罪など10の罪に問われている裁判で、千葉地裁は10月22日、懲役22年の判決を言い渡した(宮本聡裁判長)。

罪に問われていたのは、石野勇太被告人。判決によると、石野被告人は柔道教室の指導者という立場を利用し、合宿や遠征の際、教え子の女児らに睡眠導入剤入りのジュースを飲ませ、就寝中に犯行に及んでいた。

宮本裁判長は判決の言い渡しで「記憶すら残らない状況にある被害者を自己の性欲を満たすために利用した卑劣な犯行」と厳しく批判し、犯行は長期で被害者も多いことから常習性を指摘したうえで、「相当長期の実刑は免れない」と断じた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

柔道教室の塾長だった男が、教え子の女児ら7人に対して、性的暴行を加えたとして不同意性交等罪など10の罪に問われている裁判で、千葉地裁は10月22日、懲役22年の判決を言い渡した(宮本聡裁判長)。

罪に問われていたのは、石野勇太被告人。判決によると、石野被告人は柔道教室の指導者という立場を利用し、合宿や遠征の際、教え子の女児らに睡眠導入剤入りのジュースを飲ませ、就寝中に犯行に及んでいた。

宮本裁判長は判決の言い渡しで「記憶すら残らない状況にある被害者を自己の性欲を満たすために利用した卑劣な犯行」と厳しく批判し、犯行は長期で被害者も多いことから常習性を指摘したうえで、「相当長期の実刑は免れない」と断じた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●就寝中の女児に繰り返された犯行

この裁判で石野被告人は、10もの罪に問われていた。入廷した石野被告人は、スポーツ刈りでしっかりとした体格であり、柔道の指導者だったことがうかがえる。マスクで顔を覆っており、その表情は見えなかった。

判決によると、犯行はいずれも柔道教室の教え子に対するもので、不同意性交等罪などの被害は7人に及んだ。その多くが13歳未満の女児だった。石野被告人は犯行時にスマホで撮影、動画や静止画像などを保存しており、児童ポルノ法違反などにも問われていた。報道によると、これらの犯行に対して検察側は懲役25年を求刑していた。

裁判では、石野被告人の卑劣な手口が明らかとなった。合宿や遠征などの際、女児らに睡眠導入剤を砕いて入れたジュースを飲ませ、女児らが睡眠中に身体を触ったり、体液をかけるなどの犯行を5年にわたり繰り返し行っていた。判決では、睡眠導入剤を用いたことについても「狡猾であり、強固な犯意が認められる」と指摘した。

これらの犯行について、判決では次のように批判している。

「いずれも柔道の合宿中や遠征中、または塾生が被告人の自宅に宿泊している際に行われており、保護者から塾生を預かり、指導する柔道塾の塾長という立場にありながら、被告人を慕って柔道の上達に向けて励む被害者らの純粋な気持ちを悪用し、自己の欲求を満足させるために犯行を繰り返したのであって、その悪質性は顕著であり、被告人の意思決定は強い非難に値する」

また、判決では「被害者の大半は当時13歳未満と心身ともに成長過程にあった。被害者らは就寝中に被害を受けており、多くの被害者が今も被害を受けたことを認識していないものの、今後、自らの被害を知った場合に受ける心理的影響の大きさははかりしれない」と指摘した。

●慰謝示していない被告人に「反省」うながす場面も

石野被告人はこれ以外にも、合宿中に教え子の男児に対し、首を絞めたり、仰向けにしてしょうゆを口に無理やり流し込むなどしており、暴行罪にも問われていた。

判決では「態様は悪質で、犯行動機も『男児の態度に腹が立った』『悪ふざけのつもりだった』というが、指導者としての立場に照らすと短絡的かつ幼稚な動機である」と指摘し、「くむべき事情は見当たらない」と批判した。

いずれも、石野被告人を慕う子どもたちや、石野被告人を信頼して子どもを託した保護者を裏切る犯行だが、石野被告人は慰謝を示していないという。

宮本裁判長は最後に、「被告人は被害者や被害者の家族に一生消えない傷を負わせ、取り返しのつかないことをしました。しっかりと被害者らに与えた影響の大きさに真摯に向き合い、きちんと考えてください」と述べた。

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