16900.jpg
「民泊」禁止マンションで営業、訴訟に発展するケースも…新法で問題は解決できる?
2017年09月07日 09時17分

8月はじめ、大阪・ミナミの分譲マンションで、管理規約に反して「民泊」を営んでいたとして、マンションの管理組合が所有者らに対し、営業差し止めと損害賠償を求める訴えを起こしたと報じられている。大阪市では市条例により認定を受ければ民泊を営業できるが、マンションの管理規約に違反しない必要がある。このマンションでは民泊営業を禁止していた。

民泊については、営業基準を定めた「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が6月に成立し、自治体に届け出た家主は、年間180日を上限に住宅地でも民泊を始めることができるようになる。

今後、民泊はさらに増えていくと予想されるが、近隣住民との軋轢、上限180日という期間の妥当性など、民泊問題に詳しい弁護士はどのような法的課題があると考えるだろうか。民泊問題に詳しい中島宏樹弁護士に聞いた。

8月はじめ、大阪・ミナミの分譲マンションで、管理規約に反して「民泊」を営んでいたとして、マンションの管理組合が所有者らに対し、営業差し止めと損害賠償を求める訴えを起こしたと報じられている。大阪市では市条例により認定を受ければ民泊を営業できるが、マンションの管理規約に違反しない必要がある。このマンションでは民泊営業を禁止していた。

民泊については、営業基準を定めた「住宅宿泊事業法」(民泊新法)が6月に成立し、自治体に届け出た家主は、年間180日を上限に住宅地でも民泊を始めることができるようになる。

今後、民泊はさらに増えていくと予想されるが、近隣住民との軋轢、上限180日という期間の妥当性など、民泊問題に詳しい弁護士はどのような法的課題があると考えるだろうか。民泊問題に詳しい中島宏樹弁護士に聞いた。

●民泊新法、評価できるポイントは?

「外国人旅行者の増加に伴い、宿泊施設が不足している現状において、民泊新法は1つの解決策を提供するものといえます」

中島弁護士はこのように評価する。どのような点が評価できるのだろうか。

「民泊トラブルの原因の1つとして、現場に責任者がいないため、いざ問題が発生しても、対処できる者がいない点があげられました。

民泊新法では、現場に責任者を置き、 騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備付けなどの措置をとることが義務付けられることとなりました。苦情の対応窓口ができることで近隣住民との軋轢が緩和され、宿泊者名簿の整備がされることで犯罪発生の抑止につながると思われます」

●新法に課題はないのか?

新法に課題はないのだろうか。

「日数については、上限180日の計算方法(実泊日か営業日か)、実際のカウントの仕方などについては、詳細は決まっておらず、ガイドラインの制定が待たれるところです。また、民泊新法では、都道府県は条例により、日数の上限を削減することができるとされていることから、各都道府県の今後の動向には注意が必要となります。

他方で、年間180日を超えて営業を行う場合は、『旅館業』に該当するため、従前どおり、旅館業法の対象となります。

また、マンションの管理規約において民泊営業が禁止されている場合などには対象外となることから、今後、管理規約で民泊営業が禁止されるマンションが増えてくると思われます。

外国人旅行者が増加する中、宿泊施設の不足が解消されない場合には、無許可で年間180日以上の民泊営業が行われたり、管理規約で民泊営業が禁止されている物件で民泊営業が行われたりするなど違法な民泊営業が行われる恐れも否定できません。

違法民泊の問題の解決は、民泊新法の運用にかかっていると言えると思います」

中島弁護士は、次のように呼びかけた。

「日本を訪れた外国人旅行者には、日本にやってきてよかった、と感じてもらいたいものです。民泊については、新法の成立で十分と捉えることなく、今後もガイドライン・条例などの整備も含め、宿泊者、事業者、近隣住民が不要なストレスを感じることのない仕組みを構築してゆくことが求められると思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る