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福士蒼汰が女子生徒を抱きしめ→歓声/塾講師が抱きついた→逮捕・・・この差はなに?
2015年03月19日 12時42分

人気若手俳優・福士蒼汰さん(21)が、主演映画「ストロボ・エッジ」のプロモーション活動で訪れた高校で、「袖クル」と呼ばれる映画の胸キュンシーンを再現して歓声を浴びた。3月10日のオリコンニュースによると、福士さんが女子生徒のひとりを後ろからハグし、女子生徒が着ていた上着の袖をまくると、周りで見ていた生徒たちから「きゃ〜!」という歓声があがったという。

一方、同じ3月10日には、熊本市の学習塾で講師をしていた男性(42)が、背後から教え子の女子中学生に抱きついたとして「強制わいせつ罪」の容疑で熊本県警に逮捕された、というニュースも報じられた。報道によると、講師は「魔が差した」と供述したという。

たまたまタイミングが重なった2つのニュースについて、ツイッターでは「法の限界を感じる」「ただしイケメンに限るってやつか」とつぶやく声もあった。女子生徒の背後から抱きついたという点では同じなのに、一方は「歓声」、一方は「逮捕」という落差はどこから生じるのか。

まさか、イケメンなら犯罪にならない、ということだろうか。刑事事件にくわしい富永洋一弁護士に聞いた。

人気若手俳優・福士蒼汰さん(21)が、主演映画「ストロボ・エッジ」のプロモーション活動で訪れた高校で、「袖クル」と呼ばれる映画の胸キュンシーンを再現して歓声を浴びた。3月10日のオリコンニュースによると、福士さんが女子生徒のひとりを後ろからハグし、女子生徒が着ていた上着の袖をまくると、周りで見ていた生徒たちから「きゃ〜!」という歓声があがったという。

一方、同じ3月10日には、熊本市の学習塾で講師をしていた男性(42)が、背後から教え子の女子中学生に抱きついたとして「強制わいせつ罪」の容疑で熊本県警に逮捕された、というニュースも報じられた。報道によると、講師は「魔が差した」と供述したという。

たまたまタイミングが重なった2つのニュースについて、ツイッターでは「法の限界を感じる」「ただしイケメンに限るってやつか」とつぶやく声もあった。女子生徒の背後から抱きついたという点では同じなのに、一方は「歓声」、一方は「逮捕」という落差はどこから生じるのか。

まさか、イケメンなら犯罪にならない、ということだろうか。刑事事件にくわしい富永洋一弁護士に聞いた。

●「イケメン」でも犯罪になる?

「もし、イケメンには強制わいせつ罪が成立しないとすれば、『そんなの差別じゃないか!』と言われてしまいそうです。

しかし実際のところ、刑法上、『抱きついた人が誰か』は、問題になりません。

どんな男性でも、女性の事前の同意や承諾を得ずに、その背後から抱きつけば、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

女性に抱きつく行為は、女性の性的自由を侵害する行為として、『わいせつな行為』に該当する可能性があります。また、後ろから突然抱きつくというのであれば、『暴行』に当たる可能性があるからです」

富永弁護士はこう述べる。イケメンだったり、人気俳優だったりしても、強制わいせつ罪は成立しうるわけだ。線引きはどこにあるのだろうか。

「ポイントは、女性側が、抱きつかれることについて、事前に同意や承諾をしているかどうかです。同意がある場合には違法性がなくなりますので、強制わいせつ罪などの犯罪は成立しません。ただし、相手が13歳未満だった場合は、同意があったとしても、強制わいせつ罪が成立します」

●男性に「いやらしい気持ち」がなかったら?

そうすると、男性が女性を抱きしめる際、「抱きしめてもいいですか?」と承諾を求めないと犯罪になってしまうのだろうか。

「もともと親しい間柄などであれば、黙示の同意があるから違法性がないとして、そもそも犯罪にならない場合もありえるでしょう。

また、事前に同意や承諾がなくても、抱きつかれた女性のほうが『まんざらでもない』場合には、結果的に警察沙汰にはならないでしょう。ただ、これは処罰感情がなく許しているから『警察沙汰にしない』というだけのことです。

法的には、女性側の事前の同意や承諾がない場合に、無理やり抱きついたりしたら、強制わいせつ罪などの犯罪が成立すると考えておいたほうがよいでしょう」

男性側に、いやらしい気持ちが全くなかったとしても、犯罪になるのだろうか。

「最高裁判所の判例は、強制わいせつ罪が成立する要件として、男性側に性欲を満たすなどの『性的意図』が必要だとしています(昭和45年1月29日判決)。

男性側においてそのような『性的意図』がなく、親しい間柄でのハグのようなものだとしたら、強制わいせつ罪は成立しない可能性もあります。

ただし、下級審では、男性側の『性的意図』の有無にかかわらず、被害者の性的自由が侵害されれば強制わいせつ罪が成立するとした裁判例(東京高裁平成26年2月13日判決)もあります。軽はずみな行為には、くれぐれも注意したほうがよいでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

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