17568.jpg
「有料メルマガ」を社内のメーリングリストに「転送」 こんな情報共有は法的にOK?
2014年01月31日 17時42分

有料購読しているメールマガジンを読んでいたら、仕事に役立つ情報が書いてあったので、会社の同僚にそのメールを転送して、情報を共有した――そんな経験をもつ人は少なくないだろう。

もしメールマガジンの内容をそのまま全部、自分のブログで勝手に公開したら、著作権侵害になってしまうだろう。では、同じ会社の人間だけが見るメーリングリストに、メルマガを転送した場合はどうなのだろうか。

自分で買った新聞や雑誌を仲間内で回覧することと、やっていることは変わりないようにも思えるのだが……。著作権問題に詳しく、著作権をテーマにしたブログを運営している柿沼太一弁護士に聞いた。

有料購読しているメールマガジンを読んでいたら、仕事に役立つ情報が書いてあったので、会社の同僚にそのメールを転送して、情報を共有した――そんな経験をもつ人は少なくないだろう。

もしメールマガジンの内容をそのまま全部、自分のブログで勝手に公開したら、著作権侵害になってしまうだろう。では、同じ会社の人間だけが見るメーリングリストに、メルマガを転送した場合はどうなのだろうか。

自分で買った新聞や雑誌を仲間内で回覧することと、やっていることは変わりないようにも思えるのだが……。著作権問題に詳しく、著作権をテーマにしたブログを運営している柿沼太一弁護士に聞いた。

●「複製したかどうか」がポイント

「ひとくちに『情報の共有』といっても、『自分で買った新聞や雑誌を仲間内で回覧すること』のほかに、今回のように『メルマガの内容を友人に転送すること』や『メルマガを会社内のメーリングリストに流すこと』など、いろいろなパターンがあります。

このうち、『複製行為』を行っている場合には、残念ながら、原則として著作権侵害ということになります」

どれが複製行為にあたるのだろうか?

「まず、『自分で買った新聞や雑誌を仲間内で回覧すること』は、全く『複製』を行っていません。したがって、著作権侵害とは言えません。

しかし、『メルマガ内容を友人に転送すること』や『メルマガを会社内のメーリングリストに流すこと』の場合は、メールサーバー内でメルマガの内容の複製行為を行っていることになりますので、原則として著作権侵害です。

これは、メルマガが有料であろうと無料であろうと、同じです」

●「私的利用」なら著作権侵害にならないが・・・

しかし、例外的に複製をしても、侵害とならないケースもあるようだ。それはどんな場合だろうか?

「たとえば、複製が私的利用目的(著作権法30条1項)の場合には、著作物を自由に利用できます。

しかし、ここでいう私的利用の範囲は、『個人的に』『家庭内』『その他これに準ずる限られた範囲内』に限定されています。

本件のように、企業等の内部で使用する目的の場合は、この例外に含まれません」

●2012年に加わった「新しい例外」とは?

では、企業内では、著作物の無断複製は、どのような場合でも許されないのだろうか?柿沼弁護士は次のように話していた。

「企業内でも、2012年の著作権法改正で新設された、『検討の過程における利用』(同30条の3)という例外に当てはまる場合があります。

これは、大まかに説明すると、最終的に著作権者から許諾等を得ることが前提の企画を検討している際に、企画書等に著作物を複製する場合は、著作権侵害にはならない、というルールです。

たとえば、メルマガを書籍化しようとした出版社が、社内での検討資料としてメルマガを複製したようなケースなら、侵害とはされないでしょう」

しかし、これはあくまで「例外的」なケースと言えるだろう。簡単な操作で「複製(転送)」できてしまうメルマガだが、それだけに取扱いにもしっかりと気を配ったほうがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る