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神奈川県警の「被疑者ノート」黒塗り指示は「違法」、賠償命令…横浜地裁
2023年03月03日 15時59分
#国家賠償

神奈川県警の留置施設で、弁護士と被疑者がやりとりするノートを警察官に閲覧されたうえ、被疑者が書き込んだ記述を「黒塗り」されたのは違法だとして、被疑者の国選弁護人だった弁護士が県を相手取り、計350万円の国家賠償を求めた訴訟。

横浜地裁(波多江真史裁判長)は3月3日、原告の主張をおおむね認めて、計25万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

神奈川県警の留置施設で、弁護士と被疑者がやりとりするノートを警察官に閲覧されたうえ、被疑者が書き込んだ記述を「黒塗り」されたのは違法だとして、被疑者の国選弁護人だった弁護士が県を相手取り、計350万円の国家賠償を求めた訴訟。

横浜地裁(波多江真史裁判長)は3月3日、原告の主張をおおむね認めて、計25万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

●被疑者ノートを閲覧したうえで黒塗りを指示していた

原告は、神奈川県弁護士会の生江富広弁護士。判決などによると、生江弁護士は2021年5月中旬、自転車を盗んだ疑いで逮捕・勾留された男性の国選弁護人に選任された。

二度目の接見で、取り調べ内容や疑問点などを被疑者が記入して、弁護士とやりとりする「被疑者ノート」を差し入れた。

男性が面会に関する不当な処遇について書き込んだところ、警察官がノートを閲覧し、男性に取り調べ内容以外を書かないよう指示したうえで、記述の一部を黒塗りさせた。

生江弁護士は同年6月下旬、弁護人としての「接見交通権」と「秘密交通権」を侵害されたとして、国家賠償法にもとづいて慰謝料をもとめる訴訟を起こした。

被疑者ノート 黒塗りさせられた被疑者ノートの写し

●原告「被疑者・被告人の権利は侵害されやすい」

波多江裁判長は「留置施設の規律および秩序を害する行為や証拠隠滅の結果を生じさせる行為の徴表となる事項が記載される」など、「高度の必要性が認められる特段の事情」がない限り、警察官が被疑者ノートの内容を閲覧したり、取り調べ内容以外を記入しないよう指示したり、黒塗りさせることは違法と判断。

そのような特段の事情はなく、「原告の接見交通権と秘密交通権を侵害するもので、警察官はそのような侵害をしないように配慮すべき注意義務に違反したものであるから、過失が認められる」として、計25万円の支払いを命じた。

この日の判決後の記者会見で、生江弁護士は「結論に関しては、ひとまず良かったなとホッとしている。この判決を捜査機関に十分読んでいただいて、しっかり勉強してほしい。被疑者・被告人の権利は侵害されやすいところがあるので、こういう判決が出て、しっかりと擁護されるようになってほしい」と語った。

原告の代理人には、神奈川県弁護士会をはじめ、全国62人の弁護士が参加していた。

生江弁護士 被疑者ノートを手に持つ生江弁護士

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