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戸建てばかりの住宅地で進められる「賃貸アパート」建設計画ーー住民は拒否できるか?
2016年01月29日 10時26分

自分が住んでいる地域で「賃貸アパート」の建設計画が進められているが、工事着手前にどうにかやめさせたい。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、そんな相談が投稿された。

投稿者が住んでいるのは、駅から20分ほど離れた戸建て住宅の多いエリア。30〜40年前から住んでいる人が多く、賃貸アパートなどはほとんどないという。このたび、投稿者の隣の戸建てが空き家となったため、地主の意向で、家を取り壊して3世帯の賃貸アパートを建てることになったそうだ。

ところが、賃貸アパートの建設計画に、投稿者ら住民は大反対だ。賃貸で3世帯ということで、「不特定の人間が住むのは反対」「周りの住居との調和を考えても、建て直すならやはり戸建てがいいのでは」などと話しているそうだ。

建設予定の賃貸アパートは、建ぺい率や日照、高さの問題はクリアしており、すでに工事着手寸前。もう取り壊しが始まりそうだという。投稿者は「事前に近隣住民に一言も相談がなかったことで納得いかない」と話し、建設に反対する要望を出しているそうだ。

今回のケースのように、自分が住んでいるエリアで建設が予定されている建物に対して、住民が建設を拒否できるのだろうか。山之内 桂弁護士に聞いた。

自分が住んでいる地域で「賃貸アパート」の建設計画が進められているが、工事着手前にどうにかやめさせたい。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、そんな相談が投稿された。

投稿者が住んでいるのは、駅から20分ほど離れた戸建て住宅の多いエリア。30〜40年前から住んでいる人が多く、賃貸アパートなどはほとんどないという。このたび、投稿者の隣の戸建てが空き家となったため、地主の意向で、家を取り壊して3世帯の賃貸アパートを建てることになったそうだ。

ところが、賃貸アパートの建設計画に、投稿者ら住民は大反対だ。賃貸で3世帯ということで、「不特定の人間が住むのは反対」「周りの住居との調和を考えても、建て直すならやはり戸建てがいいのでは」などと話しているそうだ。

建設予定の賃貸アパートは、建ぺい率や日照、高さの問題はクリアしており、すでに工事着手寸前。もう取り壊しが始まりそうだという。投稿者は「事前に近隣住民に一言も相談がなかったことで納得いかない」と話し、建設に反対する要望を出しているそうだ。

今回のケースのように、自分が住んでいるエリアで建設が予定されている建物に対して、住民が建設を拒否できるのだろうか。山之内 桂弁護士に聞いた。

●賃貸アパートの建設、拒否するのは難しい?

「結論から申し上げると、現段階で建設を中止させることは難しいでしょう。また、建設阻止のための署名活動は、効果的とは言えません。

関連する法律や条例に適合するかぎり、土地をどう利用するかは地主の自由です。例外的に、まちづくり条例等で、近隣住民への事前説明が必要となるケースはありますが、建築への同意までは不要とされています」

山之内弁護士はこのように語る。では、どんな方法をもっても、アパートの建設を中止させることはできないのだろうか?

「地主には、土地を手放さない様々な理由があります。手放さない理由が経済的な理由だけなら、有志が高値で買い上げて、戸建業者に建築条件付きで転売する方法もありうるでしょう。しかし、『先祖代々の土地だから』などの理由で土地を手放さないのであれば、買い上げには応じないものと考えられます。

また、今回のケースは工事着工目前ということですから、事実上、追加の支出なしに、建築の中止や設計変更を求めることは難しいでしょう。この場合には、建設中止を求めた側に、追加支出の負担が求められる可能性もあります。

あるいは、一般論として、低収益の賃貸住宅経営はうまくいかないことが多いものです。そこで、経済的観点から、建設をやめるよう、地主を説得するのも一つの手かもしれません。

ただし、最終判断は地主に委ねられます。建築関連法規に適合した建築物であれば、近隣住民の反対があったとしても、建築をやめさせることはできません」

こう述べたうえで、山之内弁護士は「残念ながら今回は間に合いませんが、今後も、賃貸アパートの建設に反対するのであれば、検討されるとよいかもしれません」というプランを提案する。

「近隣住民の意見を反映できる規制手法としては、建築協定や地区計画の制度があります。これは、建物の高さや用途などのルールを区域内の人で決め、お互いがルールを守ることを約束する制度です。

『空家等対策の推進に関する特別措置法』によって、管理不十分な空き家への税制優遇がなくなったこともあり、今後、老朽化住宅をどうするかは、大きな問題になると思われます。

もし近隣にそうした空き家がある場合は、こうした建築協定や地区計画を新たに作成しても良いかと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

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