2321.jpg
ジャニー喜多川氏の性加害問題、元ジュニアが国会内ヒアリング「黙認すれば、日本社会は発展しない」
2023年05月16日 15時55分
#ジャニーズ性加害問題

ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川さん(享年87)によるタレントへの性加害疑惑をめぐり、元ジャニーズJr.の男性2人が5月16日、国会内で、立憲民主党のヒアリングを受けて、議員や官僚の前で被害を報告した。必要な法整備に向けて考えを述べた。

ヒアリングを受けたのは、これまで日本外国特派員協会で記者会見した歌手のカウアン・オカモトさん(26)と、文春オンラインの取材などに応じていたダンサーで芸能事務所経営の橋田康さん(37)だ。

先立つ14日には、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が、動画と文書で調査の実施や被害を訴える人への対応を発表した。橋田さんは一定の評価をしながらも、性加害の事実認定を曖昧にした点がのちのち問題になりえるのではないかとの考えを示した。

オカモトさんは、未成年のタレントや子どもへの性被害を防ぐための法整備のあり方として「被害者ではなく加害者が怖がる法律をつくるのが大事だ」「いまは被害者が声を上げたときのほうが失うものが大きすぎる」と指摘した。

ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川さん(享年87)によるタレントへの性加害疑惑をめぐり、元ジャニーズJr.の男性2人が5月16日、国会内で、立憲民主党のヒアリングを受けて、議員や官僚の前で被害を報告した。必要な法整備に向けて考えを述べた。

ヒアリングを受けたのは、これまで日本外国特派員協会で記者会見した歌手のカウアン・オカモトさん(26)と、文春オンラインの取材などに応じていたダンサーで芸能事務所経営の橋田康さん(37)だ。

先立つ14日には、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が、動画と文書で調査の実施や被害を訴える人への対応を発表した。橋田さんは一定の評価をしながらも、性加害の事実認定を曖昧にした点がのちのち問題になりえるのではないかとの考えを示した。

オカモトさんは、未成年のタレントや子どもへの性被害を防ぐための法整備のあり方として「被害者ではなく加害者が怖がる法律をつくるのが大事だ」「いまは被害者が声を上げたときのほうが失うものが大きすぎる」と指摘した。

⚫️「抵抗できなかった自分はダメだ」退所後も影響

オカモトさんは中学3年生のころに、橋田さんも13歳のころにジャニー氏から性被害を受けたと、ヒアリングに参加した議員、法務省、警察庁、こども家庭庁の官僚の前で報告した。

別の仕事で参加できなかった元ジュニアの二本樹顕理さん(39)のメッセージも代読された。

二本樹さんは、1996年に中学1年で入所してから3カ月後には「ジャニー氏からホテルで口腔性交などの性被害を受けた」と主張する。仕事をもらえなくなる恐れなどもあって、拒絶できなかったという。

被害は半年間で10回以上にも及んだといい、退所してからも「あのとき抵抗できなかった自分は何をやってもダメなんだ」と自尊心を傷つけられ続け、人生に大きな影響があったと被害の深刻さをうったえかけた。

画像タイトル 国会内ヒアリングの元ジュニアと議員ら

⚫️こども家庭庁「ジャニーさんは児童虐待防止法の保護者にあたらない」

ヒアリングでは、同様の被害を防ぐため、当事者は法整備のあり方についても聞かれた。

オカモトさんと橋田さんは、被害を受けている子どもが、その被害を理解したり、通報するようなことは難しいと説明する。

議員らは、児童虐待防止法で規制される「児童虐待」が「保護者(親など)が監護する児童」を対象とされている点は検討の余地があると指摘。芸能事務所や学校の部活動でも同じ被害は起こり得るが、現行の防止法では防げないのではないかと問題視する。

こども家庭庁の担当者も「お話を聞く限りでは、ジャニー喜多川さんは『保護者』にあたらないと考えます」とした。

オカモトさんは「親以外だと(児童虐待に)あたらないということですよね。単純に怖いですよね。理解のない子どもが親以外の方に(性被害を)されたら守れないですよね」とし、海外に比べて「縦社会」の日本で、親以外が問題に問われないことは怖いという受けとめを話した。

芸能プロダクションを手がける立場でもある橋田さんは「法律が改正されたら、自分も対象となり、責任ものしかかると理解している」としたうえで、その責任を引き受けて「児童虐待」の規制対象を保護者以外にも広げることを望む考えを示した。

⚫️元ジュニア「功績あるジャニーズなので、悪いことに目をつぶってきた」

長期にわたる問題にもかかわらず、国やメディアが本気で向き合おうとしなかったとして、議員から2人に対して「私たち国会議員もお詫びしないといけないと思う。なぜ判決から20年も放置されてきたのか」などと謝罪も伝えられた。

橋田さんは「たくさんの人に夢や希望をいっぱい与えた功績のある会社なので、非難したりせず、悪いことがあっても目をつぶってきた。エンターテインメントの社会の結果だと思う。このまま日本が黙認していくと、これ以上の発展はないと思っています」と社会が変わる必要性に言及する。

2日前のジュリー社長による謝罪では、性加害の事実認定について触れられず、第三者委員会の調査の実施をおこなわない考えも示している。

ジュリーさんと直接話し合ったというオカモトさんは「多くのタレントを抱えて守らないといけないという思いや、被害者の中にも伏せておきたい人も言いたい人もいる。いろんな状況がある中で、まずは顔を出して、ジャニーズ事務所代表として出ていただいたことには感謝しています。まずは第一歩。始まったなと思いました」と前向きに受けとめた様子だった。

画像タイトル ヒアリングをうける橋田さんとオカモトさん

一方の橋田さんは、事実認定を濁していた部分があったことで、「そのままにすると、これからずるずると話が長引く心配はしている」と話す。

それでも、「芸能界のアイドルの事務所としてトップを走り続けた事務所なので、新しい道標を示してもらえたら、たくさんの会社や芸能の世界が同じ方向を見向けるのではないか」と期待も寄せる。

⚫️ジュリー社長も国会ヒアリングの場にやってくるのか

なお、警察庁の担当者は、議員からの問いに答える形で、ジャニー喜多川さんのように、一方の当事者がすでに死亡している場合は、その人を犯罪事件として処罰できないと答弁した。また、ジャニーズ事務所に積極的な調査をうながすなどの対応が可能か問われると、「警察としてお答えできる立場にない」とした。

立憲民主党の議員からは、この同じヒアリングの場にジュリー社長を呼びたいとの発言もあった。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る