2742.jpg
「同期に遅れたくない」インフルなのに黙って出社、バレたら処分を受ける?
2018年02月02日 09時45分

インフルエンザと診断されたけど、同期に差をつけられたくないから出社したいーー。インターネット上のQ&Aサイトにこのような相談がありました。

相談者は新卒社員。インフルエンザと診断されてしまいましたが、「同期に遅れをとりたくない」と出社を考えています。

「休んだ後出社したら、同期がバリバリ働いていた、なんてことになっていたら悔しい」、「マスクとかで隠したら、インフルエンザだってバレないのでは?」とこっそり出勤しようとしています。

インフルエンザだと診断され、医師に出勤しないように言われたにも関わらず、勝手に出社したことが発覚した場合、会社から処分を受ける可能性はあるのでしょうか。近藤暁弁護士に聞きました。

インフルエンザと診断されたけど、同期に差をつけられたくないから出社したいーー。インターネット上のQ&Aサイトにこのような相談がありました。

相談者は新卒社員。インフルエンザと診断されてしまいましたが、「同期に遅れをとりたくない」と出社を考えています。

「休んだ後出社したら、同期がバリバリ働いていた、なんてことになっていたら悔しい」、「マスクとかで隠したら、インフルエンザだってバレないのでは?」とこっそり出勤しようとしています。

インフルエンザだと診断され、医師に出勤しないように言われたにも関わらず、勝手に出社したことが発覚した場合、会社から処分を受ける可能性はあるのでしょうか。近藤暁弁護士に聞きました。

●懲戒処分が有効となる3つの要件

そもそも、会社の懲戒処分はどのような場合に有効になるのでしょうか。

「(1)『使用者が労働者を懲戒することができる場合』で、(2)その懲戒処分に『客観的に合理的な理由』があり、(3)『社会通念上相当』と認められることが必要です(労働契約法15条)。

そして、(1)『使用者が労働者を懲戒することができる場合』という要件との関係では、懲戒事由とこれに対する懲戒の種類・程度が就業規則で明記されていることが必要です。今回のケースとの関係では、懲戒事由として、就業規則にどのような根拠規定が設けられているのかを確認する必要があります」

●就業規則に規定されている場合が多い

実際は、どのような規定が設けられている場合が一般的なのでしょうか。

「就業規則には、病者の就業禁止や報告義務等が規定されている場合が多いでしょう。例えば、『会社は、病毒伝播のおそれのある伝染性の疾病(新型インフルエンザおよびその疑いを含む。)に感染した従業員については、就業を禁止する』、『従業員は、伝染病の疾病(新型インフルエンザおよびその疑いを含む。)に感染した場合またはその疑いがある場合、直ちに所属長に報告しなければならない』といった規定です。また、懲戒事由として『就業規則に違反する行為があったとき』などと定められていることでしょう」

●インフルエンザで出勤すると懲戒処分を受ける可能性も

では、インフルエンザで出勤すると、処分が有効になるのでしょうか。

「先ほど説明したような懲戒事由が定められている場合、今回のケースは、就業規則に定められた懲戒事由に該当することになり、(2)懲戒処分に『客観的に合理的な理由』があるといえるでしょう。

ただ、懲戒処分は、(3)『社会通念上相当』であることも求められます。そのため、懲戒処分の種類・程度が重すぎるような場合には、懲戒処分が無効となることもあります」

インフルエンザでの出勤が発覚すると、「同期に遅れをとる」どころではない話になってしまう可能性があるだけに、医師の診断にしたがって、しっかり休養すべきでしょうね。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る