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種子法廃止は合憲、農家らの訴え退ける 山田元農相「安全な食への権利求め戦い続ける」
2023年03月24日 18時59分

主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは憲法違反だとして、全国の農家ら約1500人が国に違憲確認などを求めている訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は3月24日、請求を棄却した。

原告側は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」などを侵害していると主張。「安全・安心な食料を得る権利」についての司法判断が初めて示されるとしていた。

弁護団をまとめる田井勝弁護士は判決後の報告集会で「原告には訴える権利性がないとの判断で、種子法廃止による被害に踏み込んでいないことに納得がいきません。高裁には向き合ってほしい」と控訴審に向けた決意を示した。

主要農作物種子法(種子法)が廃止されたのは憲法違反だとして、全国の農家ら約1500人が国に違憲確認などを求めている訴訟で、東京地裁(品田幸男裁判長)は3月24日、請求を棄却した。

原告側は憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」などを侵害していると主張。「安全・安心な食料を得る権利」についての司法判断が初めて示されるとしていた。

弁護団をまとめる田井勝弁護士は判決後の報告集会で「原告には訴える権利性がないとの判断で、種子法廃止による被害に踏み込んでいないことに納得がいきません。高裁には向き合ってほしい」と控訴審に向けた決意を示した。

●有機農家「裁判所は現場をわかっていない」

訴訟は2019年5月に第1次提訴され、採種農家や農業関連の学者、種を育てる農業試験場元職員らの尋問を経て、2022年10月に結審した。

種子法はコメ、麦、大豆の穀物が対象で、各都道府県の農業試験場などで安定的に種を育てる根拠となっていた。2018年4月、規制改革の一環として廃止され、専門家や農業者が反発。33道県で種子法に代わる条例が制定されている。

原告側によると、栃木県では原種の価格が3倍に高騰するなどの被害が出ているが、判決は「種子法は個々の国民に対して食糧増産にかかる権利を具体化したものではなく、原告らの権利侵害とはいえない」と結論づけた。

原告の一人である有機農家・舘野廣幸さんは「私は訴える権利すらないという裁判所は農業の実態、現場を知らない。タネをまかなければ作物はできません。100年後、1000年後に生きていける基盤をつくっておかなければ国が滅びます」と訴えた。

●山田元農相「食への権利に一部触れたことは前進」

弁護団のなかでも評価は割れているものの、判決には一部前進とみられる表現もあったという。「確かに、憲法25条にいう健康で文化的な最低限度の生活を営む権利の実現に向けては、一定の衣食住の保障が必要となることは否定できない」とした点だ。

岩月浩二弁護士は「国民にとっては当たり前のことだが、長い憲法裁判の歴史のなかで、食糧への権利を正面から争った例はなく、初めてではないか」と説明。弁護士で元農水大臣の山田正彦氏は「まず一歩だと評価したい。全国の方たちからは種子法廃止による具体的な被害を聞き取りにいく。日本の種苗の危機です。これからが戦いです」と呼びかけた。

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