3810.jpg
17歳息子が「30歳」と偽ってクレカ契約 支払額は20万円にも… 法的責任どうなる?
2024年09月23日 08時11分

未成年の子どもが勝手にクレジットカードを作り多額の請求をされましたが、支払う義務はあるのでしょうか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は、見覚えのない支払額「20万円」の督促状が自宅に届き驚いたそうです。契約書を確認すると、17歳の息子が30歳と偽ってクレジットカードの契約を締結しており、このカードで20万分の利用を行ったことが判明しました。

自分で利用した以上、たとえ未成年でも支払わなければならないのでしょうか。また仮に子どもが支払えない場合は、親の責任になるのでしょうか。武山茂樹弁護士に聞きました。

未成年の子どもが勝手にクレジットカードを作り多額の請求をされましたが、支払う義務はあるのでしょうか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は、見覚えのない支払額「20万円」の督促状が自宅に届き驚いたそうです。契約書を確認すると、17歳の息子が30歳と偽ってクレジットカードの契約を締結しており、このカードで20万分の利用を行ったことが判明しました。

自分で利用した以上、たとえ未成年でも支払わなければならないのでしょうか。また仮に子どもが支払えない場合は、親の責任になるのでしょうか。武山茂樹弁護士に聞きました。

●未成年本人が支払わなければならない可能性高い

──未成年がした契約は法的にどのように扱われますか。

近年、民法が改正され、成人年齢が「18歳」となりました。未成年者は「17歳以下」ということになりますが、未成年者が締結した契約は、原則として取り消すことができます。取り消しは親からでも、未成年者本人からでもかまいません。

クレジットカード作成も立派な契約ですので、原則として、クレジットカードの作成自体を取り消すことができます。

また、クレジットカードを使って買い物することやサービスの提供を受けることも契約によるものですから、小遣いの範囲を超える買い物等に関しても、原則取り消すことができるでしょう。

──今回のケースも契約を取り消して支払いをせずに済むのでしょうか。

結論から申し上げますと、払わなければならない可能性が高いです。

お子さんが「30歳」と偽っていたとのことですが、この偽った行為を法律的には「詐術を用いる」といいます。この場合、契約を取り消すことはできません。

ですので、今回のケースでもクレジットカード契約を取り消すことはできないでしょう。

また、クレジットカードを使って買い物すること自体、自分は成年だと表示していることになりますので、同様に取り消すことができません。

ただし、契約の相手方がお子さんが未成年者だと知っていた場合は、取り消すことができます。

なお、契約の相手方がお子さんが成年者だと勘違いしたことに落ち度がある場合に取り消せるか否かは、学説上も争いがある点です。18歳を30歳と勘違いすることに落ち度があるか否かは、ケースバイケースの判断になってきます。

──刑事責任を問われることもあるのでしょうか。

嘘をついてクレジットカードを作成した点については、詐欺罪に問われる可能性もあります。

──親の責任はどうなるでしょうか。

親が、子どもが明らかに高額の商品を持っているのに、購入経路等を何も調べないなど親自身に過失がある場合は民事上の責任が生じ得ます。一方で、通常の子どもに対する監督を行っている以上は、親の責任が生じることはないでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る