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つけ麺頼み「なぜ麺が冷たいんだ」と暴れた客を店主が拘束、「私人逮捕」が許されるのはどんな時?
2023年02月24日 11時23分

ラーメン店の店主が、つけ麺を頼んで「なんで麺が冷たいんだ!」「俺をナメてるのか、殺されたいのか」などと怒鳴り散らし、暴行した男性客(40代)を私人逮捕したとして、話題になっている。

トラブルは、2月16日、「麺処まるわ」(千葉市)で起きた。店主は、逮捕時の様子について「身体に直接触れないように、上着の襟元、右袖を掴んで拘束し、居合わせた常連さんに通報してもらいました」と語る。その後、警察に被害届を出したという。

「私人逮捕」とは一般人(私人)による現行犯逮捕のことをいうが、どのような場合に許されるのだろうか。

ラーメン店の店主が、つけ麺を頼んで「なんで麺が冷たいんだ!」「俺をナメてるのか、殺されたいのか」などと怒鳴り散らし、暴行した男性客(40代)を私人逮捕したとして、話題になっている。

トラブルは、2月16日、「麺処まるわ」(千葉市)で起きた。店主は、逮捕時の様子について「身体に直接触れないように、上着の襟元、右袖を掴んで拘束し、居合わせた常連さんに通報してもらいました」と語る。その後、警察に被害届を出したという。

「私人逮捕」とは一般人(私人)による現行犯逮捕のことをいうが、どのような場合に許されるのだろうか。

●私人逮捕、限度を超えれば「暴行罪」などにあたるおそれも…

一般人でも現行犯逮捕できるということは、刑事訴訟法に規定されている。

【刑事訴訟法213条】
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

逮捕できるのは現行犯、準現行犯にあてはまる場合だ。一般人による現行犯逮捕が認められるのは、その場で身柄を確保する必要性が高く、誤認のおそれも低いためで、逮捕状も不要とされている。

注意を要するのは、逮捕するときだ。相手を押さえつけようとする行為が暴行などにあたる可能性もある。裁判例では「社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内」であれば、実力行使は許されるとしている。

【最高裁昭和50年4月3日判決】
「現行犯逮捕をしようとする場合において、現行犯人から抵抗を受けたときは、逮捕をしようとする者は、警察官であると私人であるとをとわず、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することが許され」る。

抵抗の素振りがないにもかかわらずに押さえ込んだり、行き過ぎた実力行使をしたりすれば、暴行や傷害などの罪に問われる可能性もある。

今回のラーメン店では、客は振り上げていた右拳を振り下ろし、店主の左手首にぶつけてきたという。店主は私人逮捕する旨を説明した後、身体に直接触れないように、上着の襟元、右袖を掴んで拘束したと語っている。「社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内」といえるだろう。

また、一般人が現行犯を逮捕したときは、ただちに司法警察職員などに引き渡さなければならないとされている(同法214条)が、店主は現行犯逮捕した後にすみやかに通報し、警察に引き渡している。

●軽微な犯罪の場合、要件をみたさなければ私人逮捕NG

一般人による現行犯逮捕が報じられることもある。2016年12月には、仮面ライダーシリーズに出演していた俳優・松田悟志さんが、妻のスカート内をスマートフォンで盗撮した容疑者を取り押さえ、警察に引き渡すという事件があった。

ほかにも、電車内で痴漢を目撃した第三者や被害者本人が犯人を捕まえるというケースもある。しかし、どのような犯罪でも私人逮捕が認められるわけではない。

30万円以下の罰金・拘留・科料にあたる罪については、「犯人の住居もしくは氏名が明らかではない場合」「犯人が逃亡するおそれがある場合」でなければ、一般人による逮捕はできないことにも注意が必要だ。

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