4816.jpg
接客スタッフの「名札」もとに、ネット中傷やつきまとい 表示簡素化の動きも
2022年01月02日 09時21分
#カスタマーハラスメント

接客業に多く見られる名札。客との距離感を縮めるなどの目的があるが、距離が近くなりすぎてトラブルも続出している。特に女性には、つきまとわれるなどのリスクが生じることがある。

コンビニアルバイトの主婦・田中和子さん(仮名)は、常連の男性客からぞんざいな扱いを受けるようになったという。

「名札を見て、名字で呼ばれるようになり、レジで対応する度に得意料理や子どもの有無を聞かれるようになりました。態度はどんどん大きくなって、外の掃除をしているとき、タバコの吸い殻をわざと私の目の前に捨てて、『吸い殻を拾え』と言われたこともあります」

こうした事例は珍しくないという。コンビニオーナーの一人もこう証言する。

「うちの若い女性スタッフは、お客さんから名前で話しかけられるのが嫌で名札をつけたがりません。本部が加盟店を評価するときのチェックリストには、スタッフが名札をつけているかどうかという項目があるんですが、無理強いしないようにしています」

接客業に多く見られる名札。客との距離感を縮めるなどの目的があるが、距離が近くなりすぎてトラブルも続出している。特に女性には、つきまとわれるなどのリスクが生じることがある。

コンビニアルバイトの主婦・田中和子さん(仮名)は、常連の男性客からぞんざいな扱いを受けるようになったという。

「名札を見て、名字で呼ばれるようになり、レジで対応する度に得意料理や子どもの有無を聞かれるようになりました。態度はどんどん大きくなって、外の掃除をしているとき、タバコの吸い殻をわざと私の目の前に捨てて、『吸い殻を拾え』と言われたこともあります」

こうした事例は珍しくないという。コンビニオーナーの一人もこう証言する。

「うちの若い女性スタッフは、お客さんから名前で話しかけられるのが嫌で名札をつけたがりません。本部が加盟店を評価するときのチェックリストには、スタッフが名札をつけているかどうかという項目があるんですが、無理強いしないようにしています」

●「退勤時に待ち伏せ」「職場に電話」

小売やサービス業などの労働組合でつくるUAゼンセンは、客からの嫌がらせ「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を問題視している。

組合員からも名札については、次のような報告があがっているという。

「高齢や独り身の男性客から、担当した女性店員に個人名で手紙やプレゼントを渡す、退勤時に待ち伏せするなどの事例がありました。拒否した店員がSNSで誹謗中傷を受けたこともあります」(楽器販売)

「『お気に入り』の従業員宛に電話がかかってくることやSNSを通じて個人を特定されることなどがありました」(衣料品販売)

名札がフルネームの場合、ネットで検索すれば、本人のSNSが特定できてしまう可能性がある。エスカレートすれば、SNSでの中傷被害も起こりえる。また、名札だけでなく、レシートに氏名が印字されているケースもある。

●名札「役職で表示するようになった」

企業側も対策をとっていないわけではない。たとえば、コンビニの名札はひらがなやカタカナで姓だけの表記であることが多い。UAゼンセンの加盟組合でも表記を工夫した事例がある。

「名札には名字のみ記すことにしました」(楽器販売)

「個人名表示はやめ、店長・パート等役職で表示しています」(衣料品販売)

ただ、対策が難しい業種もある。たとえば、ドラッグストアで薬の販売が可能な登録販売者や薬剤師はフルネームが義務化されている。名の部分だけ小さくするなどの対応をしているところもあるが、すべてを隠すのは難しいようだ。

そもそも、本名を隠したところで、ネットでの特定は防げても、本人を識別する呼称があれば、トラブルを避けるのは難しいかもしれない。

名前が分かった方が親しみは湧くし、どうせなら知っている人がいる店に行こうとなるのが人情だ。名札にはプラスの効果がある一方、その副作用をどのように抑えていくかが問われている。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る