4880.jpg
深夜帰宅、休日もゴルフ場送迎…役員付き「ハイヤー運転手」の労災不認定「取消し」
2017年05月26日 17時03分

会社の役員付きハイヤー運転手として働いていた男性(当時63)が死亡したのは「過労が原因だ」として、遺族が労働災害保険を請求していた事件で、東京労働局が、新宿労働基準監督署の下した労災不支給処分を取り消す決定をしていたことがわかった。決定は3月28日付。

遺族の代理人をつとめたNPO法人神奈川労災職業病センターの川本浩之氏が5月26日、東京・霞が関で記者会見を開いて明らかにした。川本氏は「労基署が時間外労働を短く認定して、不支給処分を下すという信じがたいことが起きていた。本来ならば、労基署で(労災が)認められるはずだった」と述べた。

会社の役員付きハイヤー運転手として働いていた男性(当時63)が死亡したのは「過労が原因だ」として、遺族が労働災害保険を請求していた事件で、東京労働局が、新宿労働基準監督署の下した労災不支給処分を取り消す決定をしていたことがわかった。決定は3月28日付。

遺族の代理人をつとめたNPO法人神奈川労災職業病センターの川本浩之氏が5月26日、東京・霞が関で記者会見を開いて明らかにした。川本氏は「労基署が時間外労働を短く認定して、不支給処分を下すという信じがたいことが起きていた。本来ならば、労基署で(労災が)認められるはずだった」と述べた。

●結婚記念日の食事にも行けず・・・

川本氏によると、男性は、大手タクシー会社のハイヤー運転手として定年を迎えたあと、2013年、役員車の運行管理請負をおこなうS社(東京・新宿)に採用された。S社が請負契約を結んでいるF社(神奈川)の役員付き運転手として働いていたところ、2015年10月に勤務中に倒れて亡くなった。死因は心筋梗塞だったという。

男性は、F社役員の会食の移動などのため、平日深夜まで働くことが多く、休日も役員をゴルフ場へ送迎するなどしていた。結婚記念日に妻と食事に行けなかったり、遠方から遊びに来た孫と会えないこともあったという。亡くなる直前6カ月の時間外労働は、月平均約147時間(最大183時間)に及んだ。

遺族は2015年12月、労災申請したが、新宿労基署は2016年6月、労災不支給処分を下した。厚生労働省の基準によると、タクシーなどの運転手の場合、作業時間(運転・整備など)だけでなく、手待ち時間(客待ち時間)も労働時間に含まれる。しかし、新宿労基署は、手待ち時間を休憩時間とみなして、男性の時間外労働を月約40〜50時間程度だったと判断した。

遺族は2016年7月、この処分を不服として、東京労働局に労災審査請求をおこなった。東京労働局の労災保険審査官は、男性の長時間の時間外労働を認定したうえで「男性の死亡と業務の間に因果関係がある」として、元の処分を取り消した。遺族側は今後、S社に対して賠償を求めて交渉する予定という。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る