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熟女風俗「おかあさん」代表「社会福祉で仕事してるわけじゃない」在籍女性の実像語る
2016年07月21日 09時47分

シングルマザーの貧困について考えるイベント「シングルマザーの貧困と性風俗~熟女風俗店の現場から考える~」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が7月18日、東京都内で開かれた。

イベントには、シングルマザーを支援するNPO法人「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」理事長の赤石千衣子さんと、中高年シングルマザーも働く熟女風俗店「おかあさん」グループ代表の齋藤明典さんが登壇し、現状と課題を語った。

シングルマザーの貧困について考えるイベント「シングルマザーの貧困と性風俗~熟女風俗店の現場から考える~」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が7月18日、東京都内で開かれた。

イベントには、シングルマザーを支援するNPO法人「しんぐるまざぁず・ふぉーらむ」理事長の赤石千衣子さんと、中高年シングルマザーも働く熟女風俗店「おかあさん」グループ代表の齋藤明典さんが登壇し、現状と課題を語った。

●在籍女性は40歳以上、最高齢は72歳

齋藤さんが代表を務める熟女風俗店「おかあさん」は、2009年に東京・池袋に第1号店ができ、現在、都内や関西に全9店舗を構える。在籍女性は40代、50代、60代が中心で、最高齢は72歳。基本的に、40歳未満は採用しないという。

「おかあさん」で働く女性たちは、なぜ風俗業界の門を叩いたのか。齋藤さんによると、面接に来る女性の6割は離婚歴があり、3割は既婚で夫と同居している人、残りの1割は結婚した経験がない人だという。9割がネット経由の応募で、風俗業界で初めて働く人も少なくないそうだ。

「基本的にはみんな困難を抱えています。今まで500人くらいを面接してきましたが、その中には、離婚のための費用を貯めたい人や、夫の収入が減ったけれどローンがまだ残っている人、シングルの場合は、子どもの学費や両親の介護にお金が必要という人がいました。夫の両親の介護をするために今の仕事を辞めるけれど、お金が欲しいので空いた時間に働きたい、という人もいます」

面接では、1人につき3時間かけてじっくり話を聞く。まず「家賃、光熱費、携帯代、食費、負債」の5項目について聞き、どのようにお金を管理し、どのような目的で働きたいと思っているのかを把握するのだという。次に聞くのは歯や肌の状態、そして常用薬や持病、過去の心療内科の経験だ。

「心療内科は、店を始めて半年くらいで、女性が出勤しない原因の多くが精神疾患だと分かってきたので、項目に入れました。やはり最初は隠して、薬を飲んで面接に来るので普通に見えるんです。しかし入店してから、精神状態の波が大きくて接客に行ってもらえないようなこともあったので、最初から聞いておこうと」

このような事情を聞いた上で採用を見送るケースは、統合失調症の人や歯がない人、いれずみがある人などに限定し、基本的には全員採用する方針だという。

●債務整理を手助けしたことも

齋藤さんが6年前に計算したところによると、在籍女性1人当たりの月収は平均19万円。待機時間は1日平均5.6時間で、出勤は月20日前後だという。

「月収はあくまで平均値。20日出勤で月収50万円の子も80万円の子もいますが、平均すると20万円前後ということです。面接で、生活費が月最低12万円程度の子だと、20万円稼げれば5万円貯金して、残りの3万円でいい物を食べられます。

50万円稼げる子を沢山作ろうとは考えていません。1人で生活しているなら、20万円くらいで生活できるレベルでいかないと、どこかで無理が出て、精神的にも肉体的にも破綻してすぐゼロになってしまいます」

齋藤さんは、経済的に困難を抱えている在籍女性に対して、過去には債務整理の手助けをしてきた経験がある。現在は、池袋店の待機部屋で、弁護士や臨床心理士などによる無料の生活・法律相談も実施しているが、齋藤さんはあくまでも「社会福祉でこの仕事をしているわけではない」「債務整理や家賃の交渉をしたのは、結局、女性が出勤しないから」と語る。

「在籍数は増えたけど、(店に)来ない子も増え始めた時に、結局、家庭の中に何かしら問題があることが分かってきた。じゃあその問題を解決しようとすることが、自然とこういう活動に結びついたということです」

●「貧困というキーワードは付けたくない」

ここ数年ほどの間で、「女性の貧困」がメディアでクローズアップされる中、風俗業界は貧困に苦しむ女性のセーフティネット(安全網)とも言われてきた。齋藤さんは、風俗業界をメディアを通じて伝えるにあたり、「貧困というキーワードは本当はつけたくない。実際、シングルマザーが全員貧困というわけではないし、この業界に入る人も全員が貧困ではありません」と語る。一方で、「風俗はセーフティネットなのか?」という問いに対しては、次のように答えた。

「運営する側が偉そうに言うことではないですが...。女性を助けているという気は全くなくて、自分たちも生活するために仕事をしているので。しかし結果的に、『どう考えてもこの仕事がなければ...』という人を沢山見てきました。大晦日、皆がこたつでみかんを食べている夕方に、歌舞伎町に1人ぼっちで面接に来る人もいる。そういう人を見ると、やっぱり必要だと思いますね」

(弁護士ドットコムニュース)

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