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スタッフのためだったのに…上沼恵美子さんの「焼肉大量注文」はパワハラなの?
2020年09月19日 09時46分

タレントの上沼恵美子さんが、9月7日放送のABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」で、出演番組のスタッフとの食事には「もう、行かない。今後一切。もういやだ」と発言した。

きっかけとみられるのは「文春砲」だ。大勢のスタッフを飲食店に連れて行き、数十万円分をごちそうすることもあった上沼さんだが、週刊文春(2020年7月16日号)が、「恐怖の飲み会」として参加者の声を紹介していた。

その記事によると、上沼さんが高級焼肉を大量に注文するものの、「残せる雰囲気」ではなく、若いスタッフが苦しみながら完食するのだという。

番組で上沼さんは、本当だったら「ごめんなさい」と謝罪しつつ、「そんなん絶対なかったと思うけど」と記事を強く否定。初めて高級食材を食べたという若いスタッフもいたことから、「私いいことしてるわ」と思っていたそうだ。

ただ、スタッフから記事を批判する声もなかったため、「やっぱり私は無理やり肉を食べさせていたのかと思っちゃうよね」と語った。新型コロナの影響で会食の機会がなくなり、今後はもうしないという。

おごってくれる仕事の先輩や上司の存在はありがたいものだが、簡単に断れず、迷惑に感じられることもある。もしも相手が内心迷惑に思っているのであれば、食事に連れまわすのも「パワハラ」になってしまうのだろうか。森田梨沙弁護士に聞いた。

タレントの上沼恵美子さんが、9月7日放送のABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」で、出演番組のスタッフとの食事には「もう、行かない。今後一切。もういやだ」と発言した。

きっかけとみられるのは「文春砲」だ。大勢のスタッフを飲食店に連れて行き、数十万円分をごちそうすることもあった上沼さんだが、週刊文春(2020年7月16日号)が、「恐怖の飲み会」として参加者の声を紹介していた。

その記事によると、上沼さんが高級焼肉を大量に注文するものの、「残せる雰囲気」ではなく、若いスタッフが苦しみながら完食するのだという。

番組で上沼さんは、本当だったら「ごめんなさい」と謝罪しつつ、「そんなん絶対なかったと思うけど」と記事を強く否定。初めて高級食材を食べたという若いスタッフもいたことから、「私いいことしてるわ」と思っていたそうだ。

ただ、スタッフから記事を批判する声もなかったため、「やっぱり私は無理やり肉を食べさせていたのかと思っちゃうよね」と語った。新型コロナの影響で会食の機会がなくなり、今後はもうしないという。

おごってくれる仕事の先輩や上司の存在はありがたいものだが、簡単に断れず、迷惑に感じられることもある。もしも相手が内心迷惑に思っているのであれば、食事に連れまわすのも「パワハラ」になってしまうのだろうか。森田梨沙弁護士に聞いた。

●焼肉に連れ回してもパワハラではないが、ただし…

ーー部下を思っての行為だとしても、飲食に連れまわされるのが迷惑に感じられる人もいます。一般論として食事の問題もパワハラになるのでしょうか。

2020年6月、いわゆるパワハラ防止法が施行され、パワハラは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と定義づけられました。

「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指しますが、勤務時間外の宴会などでも、実質的に職務の延長と言えるようなものは「職場」に該当すると考えられます。

単に上司が勤務時間外に部下を飲食に連れて行くだけであれば、基本的には「職場において」の要素を満たさないと思われますので、飲食に連れ回す行為自体が職場におけるパワハラと認定されることは考えにくいと思われます。

ただし、誘いを断ったために、職務上嫌がらせを受けたり、あるいは、食事の場で仕事の話題を持ちかけられ、そこでパワハラに該当するような言動をされたりしたような場合は、別途パワハラが成立する可能性があります。

もちろん、もし職場におけるパワハラに該当しないとしても、部下が内心嫌がっているのにそれに気づかず飲食に連れ回す行為が、上司として適切かというと、それは疑問です。

行為がパワハラに該当するか否かという視点だけでなく、上司としてその行為は適切なのか、部下が内心嫌がっていないか、きちんと空気を読めることが、上司には求められているのではないでしょうか。

●芸能人と番組スタッフの関係でもパワハラは成立する?

ーー上沼さんは局と直接雇用の関係にはないとみられます。影響力は強くても、スタッフと上司・部下の関係にない場合はどうなるのでしょうか

行為者が上司等ではなく、外部の人間であった場合、前述の「優越的な関係」にあるとは言えないので、職場におけるパワハラには該当しません。

とはいえ、相手の言動で精神的に苦痛を受けたと評価出来るような場合には、個人的に慰謝料請求をすることは可能です。

なお、2020年1月策定の、いわゆる「パワハラ指針」では、事業主に対し、他の事業主が雇用する労働者等からのパワハラや顧客等からの著しい迷惑行為からその雇用する労働者が被害を受けることを防止するために、マニュアル作成や研修の実施を推奨しています。

今後は、会社としても、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)等について適切な防止策を講じることが求められることになります。

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