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『劇場版アイドリッシュセブン』入場特典の転売でファン怒り、なぜ取り締まれないの?
2023年08月04日 09時44分

人気スマホゲーム「アイドリッシュセブン」(アイナナ)の劇場ライブ『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(ムビナナ)で配布される入場者プレゼントが、インターネットで転売されるケースが相次ぎ、ファンから怒りと悲しみの声が上がっている。

ムビナナは今年5月から公開され、興行収入が20億円、観客動員数が117万人を突破した。台湾とタイでの上映も決定するなど、大ヒットしている。

そんな中、週替わりで配布される数量限定の入場者プレゼントが「争奪戦」となり、フリマアプリに高額出品される事態が起きている。

映画館によっては配布初日の土曜日のうちにプレゼント終了となるところも多く、フリマアプリではメモリアルフィルムが約7万円、ポストカードが4枚で1万8500円で出品されていた。

ファンからは「日曜日でまだ2日目なのに特典もらえないって悲しすぎる」「転売の人にかっさらわれるのつらいです」との声も上がっている。

アイナナを推しているという女性は「入場特典は事前告知されていたのですが、興行収入が一定超えた瞬間から明らかに転売目的の方が増えたという印象です。配布終了していた映画館では、満席だったはずなのに、空席がちらほらありました。どうして転売ヤーは取り締まられないのでしょうか。怒りと悲しみでご飯も喉を通りません…」と嘆いている。

公式サイトは「特典の転売、内容の複写・複製・転用等の行為は一切禁止」と注意しているが、転売ヤーの行為に法的問題はないのだろうか。

各種の商取引にくわしい星野学弁護士は「現状として、転売ヤーの行為に法的問題が生じるケースは少ないといわざるを得ません」と話す。詳しく聞いた。

——転売で困っているファンはたくさんいますが、なぜ法的問題が生じるケースは少ないのですか?

転売との関係で問題になる法律として、古物営業法があります。

中古品に限らず、新品であっても「使用するために取引されたもの」を販売することで利益を得ている場合には、古物商の営業許可を得る必要があるとされています。この許可を得ていなければ、懲役あるいは罰金刑が科されると規定されています。

「使用するために取引がされたもの」という表現はわかりにくいのですが、使おうと思って買ったけれども、結局は使わずに新品のまま売却するような場合です。

しかし、鑑賞特典として数量限定の入場者プレゼントは、販売されたものではないので、「取引がされたもの」にあたらず、古物営業法に違反しないということになります。

——公式サイトには特典の転売は一切禁止します、という注意書きが掲載されています。この規定はどう考えられますか?

この注意書きに違反したからといって、ただちに「違法」とはいえないでしょう。注意書きは国などが定める法令ではありませんから、これに違反したからといって、ただちに犯罪行為になることはありません。

たとえば、映画制作会社などが、以下のような被害を受けたとして、転売ヤーの行為が刑法が定める業務妨害罪にあたると主張できるかについて検討してみます。

・入場特典の転売を禁止しているにもかかわらず転売ヤーの行為により本当のファンの方々にプレゼントすることができない
→ファンの方々が失望するなど迷惑がかかっている
→転売ヤーの行為により正当な業務が妨害されている

たしかに、このように考えると業務妨害罪にあたりそうに思えます。しかし、刑事処罰を科すためには何が犯罪にあたるのかが明確でなければなりません。なぜなら、何が犯罪にあたるのかが明確でなければ、いつ逮捕されるのかがわからず、自由に行動することができなくなってしまうからです。

そのため、業務妨害罪が成立するためには、妨害された業務内容や損害は具体的でなければならず、ファンの方々からのクレーム対応、あるいは失望したファンが離れてしまうことで売上が減少するという程度では犯罪を成立させるのが難しいのです。

——では、ファンの立場から、「本来は私がもらえるはずの特典が転売ヤーのせいでもらえなくなってしまった!」と、転売ヤーに対して損害賠償を請求することはできるでしょうか?

お気持ちもわかりますが、損害賠償も事実上不可能だと考えられます。なぜなら、必ずしも入場特典がもらえたとはいえませんし、もらえなかったのがどの転売ヤーのせいなのかを特定することもできないからです。

——では、現状としては手の打ちようがないのでしょうか…。

正直なところ、そうです。ただ、現状が変われば、答えも変わります。

法に触れなければお金をもうけるために何をしても良いという態度は必ずしも正しい態度とは言いがたく、フリーマーケットなどの健全な市場の発展のためにも一定の規制が必要となるでしょう。

そこで、転売ヤーの行為によって迷惑を受けている業界やファンの方々が、転売行為を黙認しているオークションサイトやフリマサイトに対して声を上げて取引の基準(ガイドライン等)の制定を求めていったり、監督官庁にそのようなガイドラインの制定を求めたり、国に法改正を求めていくという方法も考慮すべきかもしれません。

人気スマホゲーム「アイドリッシュセブン」(アイナナ)の劇場ライブ『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(ムビナナ)で配布される入場者プレゼントが、インターネットで転売されるケースが相次ぎ、ファンから怒りと悲しみの声が上がっている。

ムビナナは今年5月から公開され、興行収入が20億円、観客動員数が117万人を突破した。台湾とタイでの上映も決定するなど、大ヒットしている。

そんな中、週替わりで配布される数量限定の入場者プレゼントが「争奪戦」となり、フリマアプリに高額出品される事態が起きている。

映画館によっては配布初日の土曜日のうちにプレゼント終了となるところも多く、フリマアプリではメモリアルフィルムが約7万円、ポストカードが4枚で1万8500円で出品されていた。

ファンからは「日曜日でまだ2日目なのに特典もらえないって悲しすぎる」「転売の人にかっさらわれるのつらいです」との声も上がっている。

アイナナを推しているという女性は「入場特典は事前告知されていたのですが、興行収入が一定超えた瞬間から明らかに転売目的の方が増えたという印象です。配布終了していた映画館では、満席だったはずなのに、空席がちらほらありました。どうして転売ヤーは取り締まられないのでしょうか。怒りと悲しみでご飯も喉を通りません…」と嘆いている。

公式サイトは「特典の転売、内容の複写・複製・転用等の行為は一切禁止」と注意しているが、転売ヤーの行為に法的問題はないのだろうか。

各種の商取引にくわしい星野学弁護士は「現状として、転売ヤーの行為に法的問題が生じるケースは少ないといわざるを得ません」と話す。詳しく聞いた。

●入場者プレゼントは「古物営業法」の対象外

——転売で困っているファンはたくさんいますが、なぜ法的問題が生じるケースは少ないのですか?

転売との関係で問題になる法律として、古物営業法があります。

中古品に限らず、新品であっても「使用するために取引されたもの」を販売することで利益を得ている場合には、古物商の営業許可を得る必要があるとされています。この許可を得ていなければ、懲役あるいは罰金刑が科されると規定されています。

「使用するために取引がされたもの」という表現はわかりにくいのですが、使おうと思って買ったけれども、結局は使わずに新品のまま売却するような場合です。

しかし、鑑賞特典として数量限定の入場者プレゼントは、販売されたものではないので、「取引がされたもの」にあたらず、古物営業法に違反しないということになります。

●映画制作会社の業務妨害罪にあたる可能性は?

——公式サイトには特典の転売は一切禁止します、という注意書きが掲載されています。この規定はどう考えられますか?

この注意書きに違反したからといって、ただちに「違法」とはいえないでしょう。注意書きは国などが定める法令ではありませんから、これに違反したからといって、ただちに犯罪行為になることはありません。

たとえば、映画制作会社などが、以下のような被害を受けたとして、転売ヤーの行為が刑法が定める業務妨害罪にあたると主張できるかについて検討してみます。

・入場特典の転売を禁止しているにもかかわらず転売ヤーの行為により本当のファンの方々にプレゼントすることができない
→ファンの方々が失望するなど迷惑がかかっている
→転売ヤーの行為により正当な業務が妨害されている

たしかに、このように考えると業務妨害罪にあたりそうに思えます。しかし、刑事処罰を科すためには何が犯罪にあたるのかが明確でなければなりません。なぜなら、何が犯罪にあたるのかが明確でなければ、いつ逮捕されるのかがわからず、自由に行動することができなくなってしまうからです。

そのため、業務妨害罪が成立するためには、妨害された業務内容や損害は具体的でなければならず、ファンの方々からのクレーム対応、あるいは失望したファンが離れてしまうことで売上が減少するという程度では犯罪を成立させるのが難しいのです。

——では、ファンの立場から、「本来は私がもらえるはずの特典が転売ヤーのせいでもらえなくなってしまった!」と、転売ヤーに対して損害賠償を請求することはできるでしょうか?

お気持ちもわかりますが、損害賠償も事実上不可能だと考えられます。なぜなら、必ずしも入場特典がもらえたとはいえませんし、もらえなかったのがどの転売ヤーのせいなのかを特定することもできないからです。

●ファンが声をあげていくしかない

——では、現状としては手の打ちようがないのでしょうか…。

正直なところ、そうです。ただ、現状が変われば、答えも変わります。

法に触れなければお金をもうけるために何をしても良いという態度は必ずしも正しい態度とは言いがたく、フリーマーケットなどの健全な市場の発展のためにも一定の規制が必要となるでしょう。

そこで、転売ヤーの行為によって迷惑を受けている業界やファンの方々が、転売行為を黙認しているオークションサイトやフリマサイトに対して声を上げて取引の基準(ガイドライン等)の制定を求めていったり、監督官庁にそのようなガイドラインの制定を求めたり、国に法改正を求めていくという方法も考慮すべきかもしれません。

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