6414.jpg
海外生まれ「多重国籍」の日本人赤ちゃん、知らぬ間に国籍失う恐れ…日弁連が是正要求
2017年06月28日 17時32分

日弁連は6月28日、外国で生まれた日本国籍を持つ子どもが対象となる「国籍留保・喪失制度」が、憲法14条などに違反する可能性があるとして、制度を廃止し、国籍法を改正するよう求める意見書を法務省に提出した。

外国で生まれた子どもは、出生と同時に日本国籍と外国国籍を有することがある。たとえば、父親が日本人で母親が外国人だったり、両親とも日本人だが、アメリカのような出生地主義の国で生まれた場合だ。

生まれながらにして多重国籍の子どもは、そのままにしていると、生まれたときにさかのぼって日本国籍を失ってしまう(国籍法12条)。日本国籍を残すためには、3カ月以内に、日本国籍を留保するための意思表示が必要だ(戸籍法104条1項)。

しかし、この「国籍留保・喪失制度」を知らなかったり、手続きをするための日本大使館・領事館が遠かったりして、日本国籍を失ってしまう子どもたちがいるという。たとえば、日本人とフィリピン人との間に生まれた子どもたちを支援する、JFCネットワークによると、1993年〜2011年に相談を受けた341人のうち、230人(67.5%)が日本国籍を喪失していたという。

仮に一度喪失しても、20歳になる前に日本に住所を持ち、手続きを行えば、日本国籍を再取得できる(国籍法17条)。しかし、現地で暮らしている場合、未成年が日本に生活拠点を作るのは容易ではない。先のJFCネットワークでも、国籍を喪失した230人のうち、再取得できた人は31人(13.5%)しかいなかったという。

日弁連はこの制度が、子どもの人生の可能性を制限していると判断。また、婚姻関係にない日本人の父親と外国人の母親との子どもの場合、父親が認知すれば、いつでも日本国籍を取得できることから、婚姻関係にある夫婦の子どもに、3カ月という制限を設けるのは、憲法14条が保障する「法の下の平等」などに違反する可能性があるとしている。

なお、最高裁は2015年3月10日、国籍留保・喪失制度について、合憲とする判決を下している。これに対し日弁連は、仮に立法府に裁量が与えられているとしても、人権をより厚く保障するため、是正が望ましいと主張している。

(弁護士ドットコムニュース)

日弁連は6月28日、外国で生まれた日本国籍を持つ子どもが対象となる「国籍留保・喪失制度」が、憲法14条などに違反する可能性があるとして、制度を廃止し、国籍法を改正するよう求める意見書を法務省に提出した。

外国で生まれた子どもは、出生と同時に日本国籍と外国国籍を有することがある。たとえば、父親が日本人で母親が外国人だったり、両親とも日本人だが、アメリカのような出生地主義の国で生まれた場合だ。

生まれながらにして多重国籍の子どもは、そのままにしていると、生まれたときにさかのぼって日本国籍を失ってしまう(国籍法12条)。日本国籍を残すためには、3カ月以内に、日本国籍を留保するための意思表示が必要だ(戸籍法104条1項)。

しかし、この「国籍留保・喪失制度」を知らなかったり、手続きをするための日本大使館・領事館が遠かったりして、日本国籍を失ってしまう子どもたちがいるという。たとえば、日本人とフィリピン人との間に生まれた子どもたちを支援する、JFCネットワークによると、1993年〜2011年に相談を受けた341人のうち、230人(67.5%)が日本国籍を喪失していたという。

仮に一度喪失しても、20歳になる前に日本に住所を持ち、手続きを行えば、日本国籍を再取得できる(国籍法17条)。しかし、現地で暮らしている場合、未成年が日本に生活拠点を作るのは容易ではない。先のJFCネットワークでも、国籍を喪失した230人のうち、再取得できた人は31人(13.5%)しかいなかったという。

日弁連はこの制度が、子どもの人生の可能性を制限していると判断。また、婚姻関係にない日本人の父親と外国人の母親との子どもの場合、父親が認知すれば、いつでも日本国籍を取得できることから、婚姻関係にある夫婦の子どもに、3カ月という制限を設けるのは、憲法14条が保障する「法の下の平等」などに違反する可能性があるとしている。

なお、最高裁は2015年3月10日、国籍留保・喪失制度について、合憲とする判決を下している。これに対し日弁連は、仮に立法府に裁量が与えられているとしても、人権をより厚く保障するため、是正が望ましいと主張している。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る