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子どもが体調崩しても「休暇」取れず、嫌味を言われる日々…そんな職場の対応はアリ?
2016年11月07日 00時00分

子どもが体調を崩しても休みを取らせてもらえない。上司の対応はパワハラではないのかーー。そんな悩みが弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者は常勤の看護師として病院で働いていますが、上司である師長に休みや早退を申し出ても、休みを取らせてもらえなかったり、嫌味を言われたりすることに悩んでいます。また、子どもが体調を崩したり、自身の体調が悪かったりするなど、やむを得ない場合であっても休みを取らせてもらえないそうです。

子どもの体調不良を理由に休暇を取得することを上司が拒むことに法的な問題はないのでしょうか。師長の言動や嫌がらせを止めさせる手段はないのでしょうか。労働問題に詳しい喜田康之弁護士の解説をお届けします。

子どもが体調を崩しても休みを取らせてもらえない。上司の対応はパワハラではないのかーー。そんな悩みが弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

相談者は常勤の看護師として病院で働いていますが、上司である師長に休みや早退を申し出ても、休みを取らせてもらえなかったり、嫌味を言われたりすることに悩んでいます。また、子どもが体調を崩したり、自身の体調が悪かったりするなど、やむを得ない場合であっても休みを取らせてもらえないそうです。

子どもの体調不良を理由に休暇を取得することを上司が拒むことに法的な問題はないのでしょうか。師長の言動や嫌がらせを止めさせる手段はないのでしょうか。労働問題に詳しい喜田康之弁護士の解説をお届けします。

●休暇拒否の法的問題は?

相談者は、子どもの体調が悪いなどのやむを得ない場合にも休みを取らせてもらえないということです。

仮に相談者の子どもが小学校就学前であれば、育児介護休業法により、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することが認められています。

そのため、休暇の申請を拒否することは育児介護休業法違反となります。育児介護休業法は、これまでも、事業主に対し、子の看護休暇の申出をしたことや、取得したことを理由として、労働者に解雇等の不利益な取扱いをすることを禁止していました。

2017年1月1日から施行される改正法により、子の看護休暇に関する上司や同僚からの嫌がらせを防止する措置を講ずることも事業主に義務付けました。改正前においても、病院は、労働契約上、子の看護休暇の申出を理由とする師長の嫌がらせ行為を防止する義務を負っていると考えられます。

仮に、相談者の子どもが既に小学校に就学している場合でも、相談者は、年次有給休暇の取得を申請することが可能です。労働基準法により、労働者は、年休を取得する日を自由に決める権利を認められています。

そのため、本件の場合も、病院は、事業の正常な運営を妨げるような事由がない限り、相談者の年休の取得を拒否することはできません。もちろん、嫌がらせを目的とする拒否は認められません。

●「パワハラ」にあたるのか?

師長の相談者に対する嫌がらせが、頻繁に侮辱的な言葉を発する等、通常の注意や指導の域を超える場合は、違法なパワハラに当たります。使用者(病院側)は、労働契約に基づき、労働者に対して、職場において働きやすい環境を保つよう配慮する義務を負っています。

このことから、本件においても、相談者は、病院に対して、師長の嫌がらせを止めさせるように求めることができます。ただ、嫌がらせが口頭でなされていた場合、病院側が事実を認めないおそれがあるので、嫌がらせの内容と発生日を記録し、嫌がらせを受けた時の状況を録音する等により証拠を確保しておくとよいでしょう。

(弁護士ドットコムライフ)

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