7068.jpg
妻の顔は「整形」によるものだった――結婚後に発覚したら「離婚」できる?
2013年03月31日 20時30分

中華圏の情報を伝えるニュースサイト『新華網』によると、「妻が結婚前に整形したことを隠していた」として、中国人の男性が離婚訴訟を起こした。妻は整形手術をしたことを夫に伝えていなかったが、生まれた子どもの容貌が似ていなかったことから、整形が発覚したという。裁判所は夫の主張を認め、離婚と慰謝料の支払いを妻に命じる判決をくだした。

日本でも、理想の顔立ちやボディを手に入れたいと美容整形の手術をする人は少なくない。整形するかどうかは個人の自由だろうが、結婚する前に「整形の事実」をパートナーに告げるべきなのだろうか。生まれてくる子どものことも考えれば、相手の顔が整形によるものかどうか、確かめたいと思うのではないか。

中国のニュースのように、結婚したあとで「実は配偶者が整形していた」ということが分かった場合、日本の法律でも、離婚することはできるのだろうか。田村勇人弁護士に聞いた。

●「整形していた」という事実だけで、離婚が認められる可能性は低い

「日本では、離婚も、慰謝料も、認められないでしょう」

田村弁護士はこう結論を述べる。なぜ、そのようにいえるのだろうか。

「整形前の顔と整形後の顔とが違っていたということを理由にして、離婚や慰謝料が認められるためには、『整形後の顔』を前提として結婚したことや、『見た目から予想される子供を作ること』を条件として結婚したことが必要です。

しかし通常、そのような合意をする方はいません。また、日本の社会通念上、そのような黙示の合意があったとされることはありません。仮に、『整形していたら離婚する』という明示の合意がなされていたとしても、そのような合意は、公序良俗違反とされると思われます」

つまり、日本では、整形していたことが結婚後に判明しても、それだけで離婚するのは難しいといえそうだ。

「もちろん、整形していたことや、それにかかる費用の問題によって夫婦関係が悪くなり、破綻にまで至った場合は、離婚が認められることもありえるでしょう。しかし、整形していたという事実のみで離婚が認められることは、少なくとも現在の日本ではないでしょう」

このように述べたうえで、田村弁護士は次のように付け加えた。

「中国の事案は、背景に一人っ子政策があったり、見た目で評価されるという社会的背景が前提にあるので、一概に日本と同様には考えられません」

結婚した相手の顔が、実は「整形」によるものだと後から知ったとしたら、ショックを受ける人もいるかもしれない。しかし、それだけですぐに「離婚する」と言い出すのは極端すぎるということなのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

中華圏の情報を伝えるニュースサイト『新華網』によると、「妻が結婚前に整形したことを隠していた」として、中国人の男性が離婚訴訟を起こした。妻は整形手術をしたことを夫に伝えていなかったが、生まれた子どもの容貌が似ていなかったことから、整形が発覚したという。裁判所は夫の主張を認め、離婚と慰謝料の支払いを妻に命じる判決をくだした。

日本でも、理想の顔立ちやボディを手に入れたいと美容整形の手術をする人は少なくない。整形するかどうかは個人の自由だろうが、結婚する前に「整形の事実」をパートナーに告げるべきなのだろうか。生まれてくる子どものことも考えれば、相手の顔が整形によるものかどうか、確かめたいと思うのではないか。

中国のニュースのように、結婚したあとで「実は配偶者が整形していた」ということが分かった場合、日本の法律でも、離婚することはできるのだろうか。田村勇人弁護士に聞いた。

●「整形していた」という事実だけで、離婚が認められる可能性は低い

「日本では、離婚も、慰謝料も、認められないでしょう」

田村弁護士はこう結論を述べる。なぜ、そのようにいえるのだろうか。

「整形前の顔と整形後の顔とが違っていたということを理由にして、離婚や慰謝料が認められるためには、『整形後の顔』を前提として結婚したことや、『見た目から予想される子供を作ること』を条件として結婚したことが必要です。

しかし通常、そのような合意をする方はいません。また、日本の社会通念上、そのような黙示の合意があったとされることはありません。仮に、『整形していたら離婚する』という明示の合意がなされていたとしても、そのような合意は、公序良俗違反とされると思われます」

つまり、日本では、整形していたことが結婚後に判明しても、それだけで離婚するのは難しいといえそうだ。

「もちろん、整形していたことや、それにかかる費用の問題によって夫婦関係が悪くなり、破綻にまで至った場合は、離婚が認められることもありえるでしょう。しかし、整形していたという事実のみで離婚が認められることは、少なくとも現在の日本ではないでしょう」

このように述べたうえで、田村弁護士は次のように付け加えた。

「中国の事案は、背景に一人っ子政策があったり、見た目で評価されるという社会的背景が前提にあるので、一概に日本と同様には考えられません」

結婚した相手の顔が、実は「整形」によるものだと後から知ったとしたら、ショックを受ける人もいるかもしれない。しかし、それだけですぐに「離婚する」と言い出すのは極端すぎるということなのだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る