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「性暴力には法的措置も」映像業界の被害者告発に「猛省」、日本シナリオ作家協会がハラスメント対策発表
2022年10月14日 12時31分
#日本シナリオ作家協会 #性暴力

映画など映像業界で、性暴力の被害者による告発が相次いでいるのを受けて、協同組合「日本シナリオ作家協会」(佐伯俊道理事長)は公式サイトで、「あらゆるハラスメントを根絶するために全力を尽くすこと」を宣言する声明を発表した。声明は10月11日付。

声明は、これまで脚本家は業界内で弱い立場にあり、性行為の強要など犯罪も含むハラスメント被害に遭ってきたと指摘。協会内外で、そうしたハラスメントがおこなわれてきたことを知りながらも、対策を放棄してきたとして「猛省」している。

また、今後はあらゆるハラスメントを許さないとして、対策委員会を立ち上げ、性暴力など悪質な事案については、法的手段を含む措置を断行するとしている。

映画など映像業界で、性暴力の被害者による告発が相次いでいるのを受けて、協同組合「日本シナリオ作家協会」(佐伯俊道理事長)は公式サイトで、「あらゆるハラスメントを根絶するために全力を尽くすこと」を宣言する声明を発表した。声明は10月11日付。

声明は、これまで脚本家は業界内で弱い立場にあり、性行為の強要など犯罪も含むハラスメント被害に遭ってきたと指摘。協会内外で、そうしたハラスメントがおこなわれてきたことを知りながらも、対策を放棄してきたとして「猛省」している。

また、今後はあらゆるハラスメントを許さないとして、対策委員会を立ち上げ、性暴力など悪質な事案については、法的手段を含む措置を断行するとしている。

●「告発なければ現実直視できなかった」

声明によると、映像業界では長年にわたり、さまざまなハラスメントがあったが、世界的に#MeToo運動が起きても、自分たちの問題とせず放置し、2022年に日本の業界内で性暴力の被害実態が明るみになったものの、日本シナリオ作家協会を含む映像業界全体が問題意識を持って対処することはなかったという。

その理由として、「長期に渡り、加害の意識が欠如した者たちが加害を繰り返してきたにもかかわらず、周囲の問題意識が薄弱なために加害者を許容し、被害者に冷淡であったという異常な体質を、映像業界が維持してきたから」と説明。そうした体質が、ハラスメントを長期化・悪質化し、被害を隠蔽させてきたとした。

日本シナリオ作家協会は、告発した被害者に敬意を表するとともに、「告発がなければ、現実を直視することもできず、過去の在り方を省みることもなかった自らの実態を、深く恥じます」としている。

●人格否定の暴言、報酬もなし…悪質ハラスメント横行

声明によると、脚本家はプロデューサーや監督などから仕事をもらい受けたり、密室において少人数で作業したりすることが多く、職務上の地位や環境から、ハラスメント被害に遭いやすい状況下に置かれているという。

具体的な事例として、次のような行為を挙げている。

・立場の強い側が「目をかけてやっている」「育ててやっている」と驕り、立場の弱い側に対して、人格否定のような暴言を吐く、アイデアを出させ、タイトな締め切りで執筆させながら、クレジットタイトルに氏名も記載しない、報酬も払わないなど、パワハラやモラハラをおこなう。

・脚本家間でも、師匠と弟子、先輩と後輩などの力関係の下、共同作業であるにもかかわらず、「勉強させてやった」などの理由をつけられて、立場の弱い側が執筆者として扱われず、本来なら著作権者として得られるべき対価や権利を奪われる。

・日本シナリオ作家協会が主催するシナリオ講座で、講師(協会員である脚本家)から受講生への指導を超えた罵詈雑言、性的な誘いを持ちかけるなどの悪質な行為があった。

●過去の事案も相談受け付け

以上のように、法的にも道徳的にも許されないハラスメントが、業界内で平然とおこなわれてきた。しかし、日本シナリオ作家協会も直接的・間接的に知りながら、実態調査や加害者の処分といった対策を講じることを放棄し、加害者を許容して内輪で庇い、被害者を傷つけてきたと省みている。

日本シナリオ作家協会は、これまでのあり方を猛省したうえで、ハラスメント根絶のための対策委員会を立ち上げた。被害者のための相談窓口を設置し、現在発生しているハラスメントのみならず、過去の事案についても相談を受け付けて対処するという。悪質な事案については、法的措置も含む対応をおこなう予定だ。

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