7908.jpg
スマホ見ながら自転車事故、女子高生が書類送検…賠償金が「1億円」規模になるケースも
2019年11月22日 10時10分

スマートフォンを操作しながら自転車に乗って、事故を起こしたとして、女子高生が書類送検された。

報道によると、女子高生はことし6月、兵庫県伊丹市の信号のない交差点で、スマホを見ながら自転車に乗って、70代の男性をはねた。

男性は頭を強く打って、一時意識不明の重体になった。現在、意識は取り戻しているが、意思疎通がむずかしくなっているという。

女子高生は10月1日、重過失傷害の疑いで書類送検された。取り調べに対して、女子高生は「スマホに気をとられ、前をよく見ていなかった」と容疑を認めているという。

今回のように、スマホを見ながら自転車を運転する行為は、どのような法的リスクがあるのだろうか。交通事故にくわしい清水卓弁護士に聞いた。

スマートフォンを操作しながら自転車に乗って、事故を起こしたとして、女子高生が書類送検された。

報道によると、女子高生はことし6月、兵庫県伊丹市の信号のない交差点で、スマホを見ながら自転車に乗って、70代の男性をはねた。

男性は頭を強く打って、一時意識不明の重体になった。現在、意識は取り戻しているが、意思疎通がむずかしくなっているという。

女子高生は10月1日、重過失傷害の疑いで書類送検された。取り調べに対して、女子高生は「スマホに気をとられ、前をよく見ていなかった」と容疑を認めているという。

今回のように、スマホを見ながら自転車を運転する行為は、どのような法的リスクがあるのだろうか。交通事故にくわしい清水卓弁護士に聞いた。

●スマホ見ながらの運転は「罰金」となる

「そもそも、スマートフォンを操作しながら自転車を運転した場合、道路交通法や、各都道府県の道路交通規則の違反となります。たとえば、東京都の場合、5万円以下の罰金です(道路交通法71条6号、東京都道路交通規則8条4号、道路交通法120条9号)。

また、運転の状況次第では、安全運転義務の違反となり、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。

スマートフォンを見ながら自転車に乗って、交通事故を起こし、人をケガさせたり、死亡させたりした場合、重大な注意義務の違反を犯したとして、重過失致死罪に問われる可能性があります。

刑罰として、5年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金が定められています(刑法211条後段)。

単なる過失致死罪の刑罰が50万円以下の罰金とされていることに比べて、刑事責任の重いといえます」

●「自転車に乗る人は任意保険に加入すべき」

「さらに、自転車事故で人をケガさせたり、死亡させたりした場合には、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります(民法709条)。

損害額の算定の仕方は、自動車事故の場合と異なりません。

生じた結果の重大性(重篤な後遺障害や死亡)などによっては、自転車事故でも、数千万円〜億単位の高額な損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

このように、自転車事故の場合も、高額な賠償責任を負う可能性があるため、自転車に乗る人は、任意保険に加入しておくべきでしょう。

なお、近ごろ、重大な結果を生じさせる自転車事故が後を絶たないことから、自転車についても、利用者や保護者等に任意保険の加入を義務付ける内容の条例が都道府県等で定められつつあることは、交通安全の強化の観点からの注目すべき動向と思われます。

たとえば、東京都では、『東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例』が改正されて、自転車利用者や保護者、自転車使用事業者および自転車貸付業者による自転車損害賠償保険等への加入が義務化されます(同27条ないし27条の4)。この改正は、2020年4月1日に施行されます」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る