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「何見てるのよ」因縁つけてきた相手を殴って逮捕 「喧嘩両成敗」にならないの?
2020年10月04日 09時21分

札幌市のスーパーで、因縁をつけてきた相手の顔を殴り、ケガをさせたとして、20代の男が9月下旬、傷害の疑いで道警に逮捕された。

北海道文化放送のウェブ記事(9月29日)によると、この事件は9月28日夕方、札幌市内にあるスーパーで起きた。

男がレジに並んでいたところ、別の30代男性から「何見てんのよ」と因縁をつけられた。殴られそうになったので避けたところ、男性がはずみで転倒した。男は男性の顔面を殴ったという。

男は警察の取り調べに"相手から仕掛けてきた"という内容のことを話しているそうだ。はたして、相手から仕掛けてきたような場合でも罪に問われるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

札幌市のスーパーで、因縁をつけてきた相手の顔を殴り、ケガをさせたとして、20代の男が9月下旬、傷害の疑いで道警に逮捕された。

北海道文化放送のウェブ記事(9月29日)によると、この事件は9月28日夕方、札幌市内にあるスーパーで起きた。

男がレジに並んでいたところ、別の30代男性から「何見てんのよ」と因縁をつけられた。殴られそうになったので避けたところ、男性がはずみで転倒した。男は男性の顔面を殴ったという。

男は警察の取り調べに"相手から仕掛けてきた"という内容のことを話しているそうだ。はたして、相手から仕掛けてきたような場合でも罪に問われるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。

●先に手を出した男性にも"暴行罪"が成立する可能性はあるが・・・

――今回のケースは"正当防衛"にあたらないのでしょうか?

刑法は「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(同36条1項)として、正当防衛を定めています。

正当防衛の成立要件としては、(1)侵害行為の急迫性、(2)防衛の意思、(3)防衛行為の必要性および相当性が挙げられます。

今回のケースでは、侵害行為が終ったあとに加害者(30代男性)が転倒しているため、もはや(1)が存在しないのではないか、仮に(1)を肯定したとしても、逮捕された男性の行為に(2)が認められるのか――といったところが問題となります。

したがって、ただちに正当防衛の成立要件を満たしているとは判断できません。ただし、実務上、逮捕された男性側から正当防衛の主張がなされた場合、捜査当局において「正当防衛の不成立」を立証しなければなりません。

――殴られた男性にお咎めはないのか?

殴られた男性は先に、逮捕された男性に因縁をつけて殴り掛かったというのですから、防衛の意思に基づく行為とは認められず、暴行罪(刑法208条)が成立します。「人の身体に対する不法な有形力の行使」であれば、身体に直接接触しなくてもかまわないからです。

ただし、捜査当局としては、先に逮捕された男性の処分を検討する際、その点を考慮するでしょうが、殴られた男性をわざわざ暴行罪で検挙するということはしないように思います。

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