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婚活サイトで知り合った「年収1500万円」の夫、結婚後に「800万円」と判明 妻は「詐欺」と離婚を検討
2024年12月22日 10時03分

結婚した夫の実際の年収が、知り合った婚活サイトのプロフィールに記載されていた額の約半分だったのは詐欺ではないか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

高収入な結婚相手を探していた女性は、婚活サイトを通じて、年収1500万円とプロフィールに記載していた男性と知り合い、結婚の約束をしました。

指輪を購入し、両親へのあいさつを済ませ、結婚まで秒読みというタイミングに、「実際の年収は800万円程度。会社で使う経費を入れた額が1500万円だから同じようなもの」と実情を明かされたそうです。夫は悪いことだとは思っておらず、「800万円なら2人で十分な生活が送れる」と言っているようです。

遠方にいる男性の元へ行くために仕事は退職することがすでに決まっており、今さら引き返せない状況ということでそのまま入籍しましたが、「初めから800万円程度と聞いていれば夫とは結婚しなかったし、会うこともなかった」という女性としては、やはり嘘をつかれたことが許せないのか、年収の虚偽申告を理由に離婚を考えています。

女性は「詐欺のようなもの」と憤り、離婚の際には慰謝料請求もしたいようですが、離婚や男性の責任追及はかなうのでしょうか。西塚直之弁護士に聞きました。

結婚した夫の実際の年収が、知り合った婚活サイトのプロフィールに記載されていた額の約半分だったのは詐欺ではないか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

高収入な結婚相手を探していた女性は、婚活サイトを通じて、年収1500万円とプロフィールに記載していた男性と知り合い、結婚の約束をしました。

指輪を購入し、両親へのあいさつを済ませ、結婚まで秒読みというタイミングに、「実際の年収は800万円程度。会社で使う経費を入れた額が1500万円だから同じようなもの」と実情を明かされたそうです。夫は悪いことだとは思っておらず、「800万円なら2人で十分な生活が送れる」と言っているようです。

遠方にいる男性の元へ行くために仕事は退職することがすでに決まっており、今さら引き返せない状況ということでそのまま入籍しましたが、「初めから800万円程度と聞いていれば夫とは結婚しなかったし、会うこともなかった」という女性としては、やはり嘘をつかれたことが許せないのか、年収の虚偽申告を理由に離婚を考えています。

女性は「詐欺のようなもの」と憤り、離婚の際には慰謝料請求もしたいようですが、離婚や男性の責任追及はかなうのでしょうか。西塚直之弁護士に聞きました。

●「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」と言えるのか

——婚活サイトでの年収の虚偽申告は、離婚事由になるのでしょうか。

結論からいえば、年収の虚偽申告があっただけでは離婚事由になると考えるのは難しいと思います。

民法770条に離婚事由が列挙されています。年収の虚偽申告が離婚事由のひとつである「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)と言えるかどうかが問題となります。「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と認められるためには、夫婦関係を破綻させたと評価できるような事情が必要です。

結婚生活においてお金は確かに大事なのですが、お金は夫婦生活あるいは家計を支える一要因ではあってもそれが全てというわけではありません。年収の虚偽申告があったとしても他の要因で夫婦関係を十分に維持できるのであれば、夫婦関係を直ちに破綻させるとは言えないと思います。

今回のケースでは年収の虚偽申告があったとしても実際には年収が800万円あるので、直ちに生活に困窮することは考えにくいです。ただ、これがもし直ちに生活に困窮するような年収でしかない場合は、夫婦関係を破綻に追い込むような悪質な嘘があったと考える余地があるかもしれません。

いずれにしても、「婚姻を継続し難い重大な事由」は総合的な判断になりますので、単に年収の虚偽申告があったというだけでは、離婚事由になりにくいように思います。

●慰謝料請求はできるのか?

——夫が騙したという点につき、慰謝料請求が認められる余地はあるのでしょうか。

夫が年収の虚偽申告をした、つまり妻に対して嘘をついたということは間違いありません。

しかし、だからといって直ちに慰謝料請求が認められるかというとそうではありません。妻が夫に対して慰謝料請求が認められるためには、婚姻関係の破綻原因が夫にあることが必要になります。

今回のケースでは、年収の虚偽申告が夫婦関係を直ちに破綻させるとは言えないと考えられますので、慰謝料請求が認められないと考えられます。

なお、夫婦関係を破綻に追い込むような悪質な嘘を夫がついていた場合は、慰謝料請求が認められる可能性がありそうです。

●離婚を考えるなら「記録化(証拠化)」を

——この他に相談者が知っておくべきことはありますか。   合意(協議)で離婚できるのであればいいのですが、調停や裁判で離婚となると、夫婦関係が破綻していると評価できるのか、誰がどんな破綻の原因を作ったか、それぞれどの証拠からそのように言えるのかが重要になってきます。

なかなか難しいことですが、離婚をお考えになったときからでも、たとえば日々の行動であれば日記をつけるなど、第三者(主に裁判官)がみたときに、夫婦関係が破綻しているのか、その破綻の原因を作ったのは誰なのかが明らかになるように記録化(証拠化)することをお勧めします。

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