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「性交同意年齢は16歳未満に」「不同意性交等罪の新設を」NGOが性犯罪の刑法改正案発表
2020年06月11日 15時02分

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)が6月11日、オンライン会見を開き、性犯罪に関する刑法の改正案を発表した。

改正案では、現在13歳未満とされている「性交同意年齢」を16歳未満とし、被害者の認識可能な意思に反して性交などをおこなった場合の「不同意性交等罪」の新設、教師や雇用者など地位関係性を利用した性犯罪の規定新設などをもとめた。

2019年11月に性被害の当事者団体など12団体でつくる「刑法改正市民プロジェクト」が公表した改正案をさらに改訂したもので、6月から開催されている法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に提出する。

HRNは「検討会内だけでなく、広く社会において、性犯罪規定のあり方について、さらなる議論が深まることを期待している」と話している。

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)が6月11日、オンライン会見を開き、性犯罪に関する刑法の改正案を発表した。

改正案では、現在13歳未満とされている「性交同意年齢」を16歳未満とし、被害者の認識可能な意思に反して性交などをおこなった場合の「不同意性交等罪」の新設、教師や雇用者など地位関係性を利用した性犯罪の規定新設などをもとめた。

2019年11月に性被害の当事者団体など12団体でつくる「刑法改正市民プロジェクト」が公表した改正案をさらに改訂したもので、6月から開催されている法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」に提出する。

HRNは「検討会内だけでなく、広く社会において、性犯罪規定のあり方について、さらなる議論が深まることを期待している」と話している。

●強制わいせつ罪

改正案の不同意性的行為罪・若年者性的行為罪 改正案の不同意性的行為罪・若年者性的行為罪

(現在の176条:13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、 6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、 同様とする)

日本では、「暴行または脅迫」がなくても強制性交等罪が成立する範囲が、被害者が13歳未満の男女の場合となっている。 改正案では、義務教育を終えた年齢である16歳未満を提案した。

また、「わいせつ」はあいまいな概念だとして、「性的行為」を新たに定義。性的部位に接触する行為や、性的部位以外の腕や肩などであっても執拗に撫で回したり揉んだりする行為、衣服を脱がせた状態で撮影する行為などを含むべきとした。

18歳未満同士の場合は、年齢差が2年以内であれば、処罰対象としないとした。

寺町東子弁護士は「義務教育で性暴力防止教育もおこなわないと意味がない。性教育の改善もにらんで16歳未満という年齢を提案した」と話した。

●強制性交等罪

改正案の不同意性交等罪・若年者性交等罪 改正案の不同意性交等罪・若年者性交等罪

(現在の177条:13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性 交をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする)

13歳以上の男女に対して「暴行または脅迫」を用いて性行為をした場合、刑法の強制性交等罪(13歳未満の男女の場合、暴行脅迫要件はない)が成立する。

過去の判例では、この「暴行または脅迫」が「被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度」である必要があるとされている。

寺町弁護士は「多少の有形力の行使は『暴行』にはあたらないと解釈する裁判例もあれば、軽い暴行でも『暴行』と認められたものもある。こうした判断のブレは、行為者にとっても予測可能性に乏しい」と指摘。

これまでの「暴行」の程度に関する解釈と異なることを明確にするため、「有形力の行使」とした上で、相手方の同意がない典型例として、新たに「威迫、不意打ち、偽計、欺罔、監禁」を構成要件として明示することを提案した。

●準強制わいせつ罪、準強制性交等罪

改正案の同意不能等性的行為罪・同意不能等性交等罪 改正案の同意不能等性的行為罪・同意不能等性交等罪

(現在の178条:人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、もしくは抗 拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、176条の例による。 2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による)

「心神喪失または抗拒不能」となった人に性行為をした場合、刑法の準強制性交等罪が成立する。

しかし、今の「抗拒不能」要件は、最高裁の判例などで明確な定義がなされていないと指摘。

具体的に「無意識、睡眠、催眠、酩酊、薬物の影響、疾患、障害、もしくは洗脳、恐怖、困惑その他の状況により特別に脆弱な状況に置かれている状況」と列挙することで、被害者を保護するべきだとした。

●監護者わいせつ罪、監護者性交等罪

改正案の監護者等性的行為罪・監護者等性交等罪 改正案の監護者等性的行為罪・監護者等性交等罪

(現在の179条:18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、176条の例による。 2 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、177条の例による)

2017年の刑法改正で、親などの監護者性交等罪が立場を利用して18歳未満の子どもと性交などをした場合、暴行脅迫がなくても「監護者性交等罪」の罪に問われるようになった。

これに対し、今の監護者性交等罪は「現に監護する者」の範囲が狭すぎると指摘。

改正案では類型を拡大し、離婚後の非監護親、同居親の恋人、アルバイト先の上司、教師、指導者などからの行為も対象とした。

また、新たに「地位関係利用性的行為罪、地位関係利用性交等罪」を創設。18歳以上の人に対しても、親族や後見人、教師、指導者、雇用者、上司、施設職員など、被害者に対する権力関係にある者がその地位を利用して行う事案に関して、処罰するべきとした。
改正案の地位関係利用性的行為罪・地位関係利用性交等罪 改正案の地位関係利用性的行為罪・地位関係利用性交等罪

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