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96歳祖母「金塊2本を孫娘に贈与したい」節税するなら母に相続させたほうがいい?
2016年01月05日 11時23分

「高齢の母から孫娘への金塊の贈与。節税するにはどうしたらいい?」。そんな悩みが、税理士ドットコムの相談コーナーに寄せられた。相談者は、孫娘の母にあたる女性。その母は96歳の高齢で、数年以内に相続が発生する可能性があるようだ。

祖母は孫娘2人に対して、金塊500グラムずつを贈与したいと望んでいるという。相談者の女性は「<ケース1>直接、金塊を娘2人に渡して、娘たちが贈与税を支払う(その後売却)」か、「<ケース2>まず、娘の母である相談者が金塊を相続して売却し、その売却益を娘たちに暦年贈与する」かで悩んでいる。

また、相談内容にはなかったが、<ケース3>まず、祖母が金塊を売却して、売却益を孫娘に贈与することも想定される。それぞれのケースによって、税金はどう変わってくるのだろうか。堀内太郎税理士に聞いた。

「高齢の母から孫娘への金塊の贈与。節税するにはどうしたらいい?」。そんな悩みが、税理士ドットコムの相談コーナーに寄せられた。相談者は、孫娘の母にあたる女性。その母は96歳の高齢で、数年以内に相続が発生する可能性があるようだ。

祖母は孫娘2人に対して、金塊500グラムずつを贈与したいと望んでいるという。相談者の女性は「<ケース1>直接、金塊を娘2人に渡して、娘たちが贈与税を支払う(その後売却)」か、「<ケース2>まず、娘の母である相談者が金塊を相続して売却し、その売却益を娘たちに暦年贈与する」かで悩んでいる。

また、相談内容にはなかったが、<ケース3>まず、祖母が金塊を売却して、売却益を孫娘に贈与することも想定される。それぞれのケースによって、税金はどう変わってくるのだろうか。堀内太郎税理士に聞いた。

●問題を単純化するための前提条件

「最初に問題を単純化するため、以下のような前提をもとに説明していきますね。

・祖母の金塊以外の財産は、現預金のみ5000万円で、債務等はなし

・祖母の法定相続人は、相談者の女性1人のみ

・孫娘は、2人とも20歳以上

・祖母、相談者、孫娘は、いずれも収入なし

・金塊の時価は、1グラム=4600円として、1本230万円(贈与時点、相続時点、売却時点で変わらないものとする)

・金塊は、祖母が夫(相談者の父)から相続したもので、夫が1本100万円で購入したもの(夫から相続して以降、5年超経過している)

・金塊の売却費用は無視する

・相談者、孫娘は、いずれも金塊を取得後5年超経過してから売却するものとする

●直接、金塊を孫娘に贈与する場合

まず、<ケース1>祖母が直接、金塊を孫娘に贈与した場合を考えてみましょう。

この場合、孫娘はそれぞれ、12万円の贈与税を支払う必要が生じます。これは、『(230万円-基礎控除110万円)×特例贈与税率10%』という式から導きました。20歳以上ですので、特例贈与の税率10%が適用されます。

さらに、孫娘が金塊を売却した際に、それぞれ約6万円の譲渡所得税・住民税がかかります。詳細な説明は省略しますが、『{(230万円-100万円)-特別控除50万円}×1/2(※)×所得税・住民税合算税率15.105%』という式から導くことができます。

(※)5年超保有後の売却の際には、税金計算上、譲渡益から特別控除50万円を差引いた金額の2分の1が課税対象となります。

また、母が支払うべき相続税は、『(5000万円-基礎控除3600万円)×相続税率15%-速算表控除額50万円』として、160万円となります」

●祖母が金塊を売却した後、現預金で孫娘に贈与した場合

では、似たような事例として、<ケース3>祖母が金塊を売却した後、現預金で孫娘に贈与した場合はどうだろう。

「この場合、まず祖母が金塊を売却した際に、約16万円の譲渡所得税・住民税がかかります。こちらも詳細な説明は省略しますが、『{(230万円-100万円)×2個-特別控除50万円}×1/2×所得税・住民税合算税率15.105%』という式から導きました。

次に、孫娘に現預金を贈与した際に孫娘が支払うべき贈与税は、<ケース1>と同じく、それぞれ12万円となります。

また、母が支払うべき相続税は、<ケース1>と同じく160万円となります」

●相談者が金塊を相続して、娘たちに歴年贈与する場合

では、<ケース2>女性が金塊を相続して、売却した後、現預金で娘たちに暦年贈与した場合はどうだろう。

「相続後の暦年贈与の過程では、非課税枠の110万円を利用して贈与税がかからないように贈与していくとしましょう。

まず、相続財産は5460万円(=現預金5000万円+金塊230万円×2本)ですので、母が支払うべき相続税は、『(5460万円-基礎控除3600万円)×相続税率15%-速算表控除額50万円』で、229万円となります。

さらに、母が金塊を売却した際に、<ケース3>と同じく約16万円の譲渡所得税・住民税がかかります。

3つの方法で支払うべき税金を整理すると、以下のようになります。

ケース1 譲渡所得税+住民税120,840円、贈与税240,000円、相続税1,600,000円、合計1,960,840円

ケース2 譲渡所得税+住民税158,602円、相続税2,290,000円、合計2,448,602円、

ケース3 譲渡所得税+住民税158,602円 贈与税240,000円 相続税1,600,000円 合計1,998,602円

つまり、<ケース1>祖母が金塊を孫娘に直接贈与する方法が、節税になりますね。

ちなみに、金塊を譲渡した際にかかってくる所得税は、給与や年金などの所得と合わせて計算されます。今回はみなさん、ほかには所得がないという前提で考えていますが、各当事者のその他の所得によって、結論が変わってきますので注意が必要です。

もし、前提としていた祖母の現預金が3342万3000円未満だとしたら、<ケース2>女性がいったん相続しておく方法が有利になります」

堀内税理士はこのように話していた。

【取材協力税理士】

堀内 太郎(ほりうち・たろう)税理士

税理士法人シグマパートナーズ代表社員。公認会計士・税理士。監査法人系コンサルティング会社で株式上場支援、内部統制構築支援、上場会社の税務申告等に携わった後、会計事務所を経て、現職。

事務所名   : 税理士法人シグマパートナーズ

事務所URL:http://www.sigma-tax.or.jp

(弁護士ドットコムニュース)

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