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「名刺管理アプリ」のデータを増やすのが喜び…退職時には会社に渡さないといけない?
2018年02月14日 09時52分

日々の仕事の終了後に、名刺を1枚1枚パチリ。「エリートビジネスマン」を目指すIT企業の社員タカヤさんにとって、仕事でできた人脈を整理するために、名刺管理アプリに名刺の情報を取り込むのが一番の楽しみだ。

こうして何百人分ものデータベースが作られ、エリートビジネスマンになるために役に立つかどうかはわからないが、今後のキャリア形成に向けた宝物と考えているようだ。

ただ、タカヤさんの心配は、転職などで会社を辞める際に、名刺の実物や、アプリのデータまで提出しなければならないかどうかだ。名刺アプリの情報が仕事を通じて得たものであれば、これらのデータは会社のもの、ということになってしまうのだろうか。武田健太郎弁護士に聞いた。

日々の仕事の終了後に、名刺を1枚1枚パチリ。「エリートビジネスマン」を目指すIT企業の社員タカヤさんにとって、仕事でできた人脈を整理するために、名刺管理アプリに名刺の情報を取り込むのが一番の楽しみだ。

こうして何百人分ものデータベースが作られ、エリートビジネスマンになるために役に立つかどうかはわからないが、今後のキャリア形成に向けた宝物と考えているようだ。

ただ、タカヤさんの心配は、転職などで会社を辞める際に、名刺の実物や、アプリのデータまで提出しなければならないかどうかだ。名刺アプリの情報が仕事を通じて得たものであれば、これらのデータは会社のもの、ということになってしまうのだろうか。武田健太郎弁護士に聞いた。

●退職時に返却する必要はない

「退職時に、名刺の実物や名刺管理アプリのデータ(以下『名刺等』といいます)について、会社に対して返却する必要があるか否かについては、名刺等が「営業の秘密』(不正競争防止法2条6項)といえるかが問題となります」

営業秘密とはどのようなものか。

「『営業秘密』に該当するためには、(1)秘密管理性、(2)有用性、(3)非公知性(公然と知られていないこと)の全ての要件を満たしている必要があります。名刺等が営業秘密に該当しない場合については、退職後も、従業員が自由に使用することができると考えられます。

裁判例においても、会社を退社した役員による名刺帳持ち出し行為について、営業の秘密の該当性が争われた件について、『名刺記載情報が非公知とはいえず、同名刺帳に有用性・秘密管理性は認めれず、営業秘密ということはできない』(東京地方裁判所平成27年10月22日)と判示したものがあります。

また、退職時に、名刺等を強制的に返却させることは、従業員の職業選択の自由(憲法22条1項)を過度に制限することにもなりかねません。

ですから、原則として、勤務中に得た名刺等は、退職時に返却する必要はないと考えられます。ただし、労使間で秘密保持契約を締結している場合や、会社の秘密管理規程などにより社員に周知している場合など、会社に対し名刺等の返却することになり得る場合もあります。」

(弁護士ドットコムニュース)

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